TOP導入までのステップ

導入までのステップ

AI-OCRもスモールスタートで

 AI-OCRには多数の利点があり、帳票のデータ化において大きなメリットをもたらします。
 とはいえ導入に失敗すれば、「こんなはずではなかった」と頭を抱えることになりかねません。
 このような失敗を防ぐためには、どのように導入していけばよいのでしょうか。

 AI-OCRを導入する際、まず取り組みたいのは、現状で使われている帳票の把握と、AI-OCRでデータ化する帳票の決定です。
 企業ではさまざまな帳票が使われています。その中で、AI-OCRでデータ化したいものをまずは集めてみましょう。

 ここで意識したいことの1つがスモールスタートで進めることです。最初からあれもこれもと手を広げると、
 導入に時間がかかったり、現場が混乱したりする事態を招く恐れがあります。
 まずは少数の帳票でスタートし、そのうえで効果を見極め、現場の作業手順が確立した後で、
 徐々にほかの帳票にもAI-OCRを適用するように広げていきましょう。

 

導入までのステップ 基本的な流れ

導入までのステップ 基本的な流れ

AI-OCRでデータ化する帳票の選定

 AI-OCRでデータ化する帳票を絞り込む際、まずは自動化の効果を定量的に考えます。
 月間で何枚処理しているのか、1枚あたりの処理にどれだけの稼働がかかっているのかを明確にしましょう。
 これで自動化効果の大きさが見えてきます。

 次に、自動化の効果が大きいものの中から、AI-OCRによる自動化に向いているもの(OCRの認識精度が高くなりすいもの)を選定しましょう。
 判断がつかない場合は、NTTデータの帳票読み取り制度診断サービスなどを利用して下さい。

 こうして処理枚数と、1枚あたりの人手での処理時間、AI-OCRによる読み取り精度、AI-OCRによる処理時間を算定できれば、
 AI-OCRの導入効果を予測できるようになります。

AI-OCRの設定と作業フローの整理

 実際にAI-OCRを導入したら、選定した帳票の文字認識のために必要な設定を行っていきます。
 具体的には、帳票の読み取り範囲や出力フォーマットの指定などを行います。
 なお、設定の難しいAI-OCRを選んでしまうと、設定の都度ベンダーに委託することになりますが、
 「DX Suite」はノープログラミングで直感的に操作可能なユーザーインターフェイスを備えているため、
 専門家でなくても各種設定を行うことが可能です。

 設定が完了したら、実際に帳票をアップロードして、想定したように文字認識が行われているか、
 認識した結果がデータとして正しく出力されているかなどを確認していきます。

 設定と同時に行っておきたいのが、作業フローの整理です。
 AI-OCRで帳票をデータ化するためには、まず帳票をスキャナなどで画像データやPDFに変換する必要があります。
 またAI-OCRでデータ化した後、正しく文字認識が行われているかのチェックも必要でしょう。
 こうした作業をどのような手順で行うのかについて、現場のスタッフで詰めておくべきです。

 必要な設定や作業手順の確認が終わったら、実際の帳票を取り込み、AI-OCRでデータ化する作業を進めていきましょう。
 なお実際にAI-OCRでデータ化していくと、設定や作業手順の不備が明らかになることも少なくありません。
 何かしら問題が発生した場合は、その原因を究明すると共に、設定や作業手順を見直していきましょう。

RPAを活用した自動化も視野に入れる

 AI-OCRを使って問題なく帳票をデータ化できるようになったら、別の帳票にもチャレンジしてみましょう。
 AI-OCRを利用して、1つの帳票をスムーズにデータ化できるようになるころには、相応のノウハウが蓄積されているはずです。
 そのノウハウを活用し、社内で利用されている別の帳票にもAI-OCRを適用していきます。
 こうしてAI-OCRの利用範囲を徐々に広げてデータ入力業務を削減していけば、会社全体の業務効率化も果たせるはずです。

 このように複数の帳票をデータ化する際、便利なのが「DX Suite」で提供されている自動仕分けの仕組みです。
 面倒な設定を行うことなく、対象となる帳票を選択するだけで自動的に仕分けを行ってくれるうえ、
 仕分けた帳票をワンクリックでデータ化し、帳票の種類ごとに分割ダウンロードできます。
 こうした機能も視野に入れつつ、さらなる業務効率の向上のため、どのようにAI-OCRを使うべきかを検討していきましょう。

 さらなる業務効率化のためには、RPAの連携まで視野に入れておくことが不可欠です。
 紙の帳票をスキャナでスキャンした画像ファイルをAI-OCRにアップロードする、AI-OCRから出力されたデータをExcelに入力する、
 あるいはシステムに投入するなどといった際、RPAを使えばその一連の作業をまとめて自動化し、作業の負担をさらに軽減することができます。

 なおRPAを利用するメリットは、作業が自動化されるだけではありません。
 たとえばAI-OCRが出力されたデータをExcelに転記する際、人手でコピー&ペーストを行っていると、
 本来とは異なるセルにペーストしてしまうなどのミスが発生する恐れがあります。
 しかしRPAを使って自動化していれば、そうした人為的なミスを防げます。
 このように作業の正確性が向上することも、RPAを利用して得られる大きなメリットです。

 ここまでAI-OCRの導入ステップについて解説してきましたが、企業の状況や業務の内容によって最適なステップは異なります。
 自社の状況を踏まえつつ、AI-OCRを最適な形で導入したいと考えるのであれば、信頼できるパートナーの力を借りることも検討しましょう。