はじめに:いま「ノーコード ローコード」を学ぶ価値は、想像より大きい
- 業務を改善したいのに、開発はできない
- IT部門は忙しくて、要望を出しても順番待ち
- Excelとメールの運用が限界
- AIも気になるけど、何から手をつければいいか分からない
こうした悩みの入口に、いま多くの人が 「ノーコード ローコード」 で辿り着きます。
ノーコード/ローコードは、単に開発を楽にする手段ではありません。
うまく使えば、現場の改善スピードを上げ、ツール乱立を防ぎ、運用まで含めて業務を強くする武器になります。
さらに最近は、AIの普及によって「アプリの作り方」そのものが変わり、ノーコードでAI業務アプリを作ることも現実的になりました。
この記事では、まず ノーコード/ローコードの基礎と違いを汎用的に整理し、次に ツール選びの考え方と 失敗パターンの回避策をまとめます。
後半では、つなぎAIで作れる ノーコードAIアプリの構築例を複数紹介いたします。
ノーコード/ローコード/プロコードの違い(5分で理解)
ノーコードとローコードの違いは一言で表現するとこうなります。
ノーコード:コードを書かずにアプリやWebサイトを構築できる開発手法
ローコード:最小限のコードで開発を行う手法
「ノーコードとローコードの違い」は、言葉の定義を暗記しても現場では役に立ちません。
大事なのは、あなたの業務が、どこまでの作り込み・連携・運用統制を必要としているかです。そこでここでは、判断に使える形で整理します。

ノーコードとは:作れるのは「定型業務のアプリ化」
ノーコードは、基本的にコードを書かず、画面操作や設定だけでアプリや業務フローを作る考え方です。得意なのは、たとえば次のような領域です。
- フォーム(依頼受付、アンケート、申請入力)
- タスク管理(台帳、申請一覧、対応状況の可視化)
- 通知(メール、チャット、担当者へのアラート)
- ルールが比較的シンプルなワークフロー(受付→承認→完了)
強みは「速さ」。改善サイクルを回しやすいので、現場の小さな困りごとから成果を出すのに向いています。
一方で、複雑な例外処理や、細かいUI要件、特殊なデータ構造、独自ルールが多い業務は苦手になりやすいです。
ローコードとは:連携・拡張まで見据える「現実解」
ローコードは、基本は設定中心ですが、必要に応じて少しコードやスクリプトを足して拡張できる考え方です。特に強いのは次の点です。
- 既存システムやSaaSとの連携(API、Webhookなど)
- 権限・監査ログ・運用統制(誰が何を変えたか)
- 少し複雑な業務ロジック(条件分岐、例外対応、データ加工)
「ノーコード ローコード」の違いは、ざっくり言うと、どこまで作り込み・連携・運用を背負うかの違いです。
現場が小さく速く回すならノーコード。全社で標準化し、連携し、育てるならローコードが視野に入ります。
参考:プロコード(フルスクラッチ)とは:自由だがコストも責任も最大
プロコードは、自由度が高い反面、設計・開発・テスト・運用の責任が重く、時間も費用もかかります。
逆に言えば、要件が複雑で、将来の拡張が読めず、競争優位のコア業務なら、プロコードが合理的な場合もあります。
なぜ今「ノーコード ローコード」が注目されるのか
ノーコード/ローコードの流行は、一時的なブームではなくこ今後も重要性が高まると考えられます。
理由は以下の3つに分類されます。
人手不足と属人化が限界に来ている
担当者が辞める、異動する、休む。引き継ぎ資料がない。口頭で回っている。
こうした状況では、改善は“早く作る”より、再現性を作ることが価値になります。
ノーコード/ローコードは、業務の型(入力項目、判断基準、通知先)を明文化しやすいのが強みです。
クラウド普及で多くのものが連携前提になった
フォーム、チャット、ストレージ、チケット管理、表計算など。
どれか1つを入れるだけで終わる時代ではなく、つないで業務を流すのが当たり前になりました。
ここで誰でも簡単にシステム同士を連携させる「ローコードツールの導入」が重要になります。
AIとの親和性
AIが得意な領域は、文章生成だけではありません。
現場で効くのは、むしろ以下のような「業務の途中工程」です。
- 問い合わせ分類、要点抽出、返信下書き
- ルールに沿った案内(必要情報の聞き取り)
- 文書の参照・回答(社内FAQ)
- チェック補助(不備の可能性提示)
これらは、ノーコード/ローコードの業務フローと相性が良い領域です。
ノーコード/ローコードのメリット(導入価値)
ここからはノーコード/ローコードのメリットをご紹介します。
1)スピードが出る:小さく作ってすぐ改善できる
最大の価値は、試すまでの速さです。
現場の業務は、最初から完璧に要件定義できません。
まず動くものを作り、使いながら改善する。この回し方ができると、改善は一気に進みます。
2)現場知が形になる:属人化の逆を行ける
「担当者しか分からない」業務ほど、ノーコード/ローコードで型に落としやすいです。
受付項目、判断ルール、通知先、例外対応…を“見える化”できると、属人化が減り、引き継ぎも楽になります。
3)連携と標準化:ローコードで進む業務改善
ローコードの発想を持つと、開発したアプリを運用しながら改善して定着させるところまで持っていきやすくなります。
たとえば「申請→承認→チケット起票→履歴保管」まで段階を踏んでつなぐことで、手作業が減り、例外対応も整理しやすくなります。
デメリットと失敗パターン
ノーコード/ローコードの導入で多い失敗は、ツールの性能ではなく設計と運用で多く起きます。
失敗1:目的が曖昧で、作っても使われない
「何を減らすのか(対応時間、差し戻し、入力漏れ、探す時間)」が曖昧だと、便利そうなアプリを作っても定着しません。
最初に“1つだけ”目的を決めるのがコツです。
例:
- 問い合わせの一次解決率を上げる
- 差し戻し率を下げる
- 受付→初動までの時間を短くする
失敗2:運用が回らず形骸化する
導入直後は使われても、更新が止まると腐ります。
「誰が」「いつ」「何を直すか」を決めておかないと、例外が積み上がり、使われなくなります。
失敗3:ツール乱立で逆に混乱する
部門ごとに別のフォーム、別の運用、別の権限…になると教育コストと問い合わせが増えます。
対策は、標準テンプレ・命名ルール・権限設計など運用の型を揃えることです。
失敗4:セキュリティ・個人情報の管理に
止めるのではなく、ガードレールを先に敷くのが現実的です。
- 扱うデータ範囲(個人情報はどこまで?)
- 権限(誰が見られる?)
- ログ(誰が何をした?)
- AIに任せない線引き(最終判断は人、など)
ツール選定と開発のポイント
ノーコード/ローコードツールを選定するためのポイントをご紹介します。
①目的起点:何の業務に適用するか
「全部できるツール」を探すほど迷います。
まずは業務を1つに絞り、必要な機能を逆算しましょう。
②連携:普段の業務導線に戻ってこれるか
アプリは“単体で便利”でも、現場の導線に戻れないと定着しません。
メール/Teams/チケット管理/表計算/ストレージなどと連携し、日々の仕事に戻る導線が作れるかが鍵です。
③運用:権限・ログ・テンプレ・引き継ぎ
“作れる”より“実運用を回せる”が重要です。
担当交代等も見据え、権限の粒度、変更履歴、ログ、テンプレ有無を確認しましょう。
④セキュリティとデータ取り扱い
社内利用ほどここが重要です。規程との整合、閲覧制限、データ保持、外部共有の扱いなど、運用ルールまでセットで見ると安心です。
⑤拡張性とコスト(PoC→本番の道筋)
最初は小さくても、成果が出ると横展開が起きます。
「増えても運用が破綻しないか」「費用が跳ねないか」まで道筋を持つと失敗しにくいです。
AI時代のノーコード:つなぎAIで何ができる?
本記事では、DifyをベースにしたAIエージェント「つなぎAI」を例に、ノーコードでAI業務アプリを作るイメージを紹介します。
従来のノーコードは「フォーム・一覧・通知」が中心でした。
つなぎAIのような仕組みを使うと、そこに AIの補助が入ります。
“AIチャットボット”と“業務フロー(ワークフロー)”の違い
AIチャットボットは会話が得意ですが、業務は「受付→確認→処理→記録→通知」と会話以外の処理も多く流れます。
そこで重要なのが、AIを“会話係”で終わらせず、業務フローに接続することです。
ナレッジ(社内文書)×連携で、業務アプリになる
「社内の規程や手順書を参照して回答する」「依頼内容を聞いて必要項目を揃える」など、
ナレッジ活用とツール連携が組み合わさると、AIは“使える業務アプリ”に近づきます。
まず整えるべき前提(ナレッジ整備/ガードレール)
AI活用は、精度より先に 運用設計が重要です。
- 根拠提示(どの文書を参照したか)
- 不確実なら人へエスカレーション
- 最終判断は人
- 更新フロー(規程改定時に更新)
事例でわかる:つなぎAIで作るノーコードAIアプリ4選
ここからは、悩みに応じて実務に落とせる形でノーコードアプリ実装例をご紹介します。
- 問い合わせが多い → 事例1(FAQ)
- 依頼の往復が多い → 事例2(依頼受付AI)
- CSが逼迫 → 事例3(分類+下書き)
- 差し戻しが多い → 事例4(チェック補助)
事例1:社内FAQ/規程検索ボット(問い合わせ一次対応)
向いている課題:同じ質問が何度も来る/文書はあるのに探せない
構築の考え方:社内規程・手順書・FAQをナレッジ化し、質問に対して該当箇所を参照しながら回答します。
分からない時は「分からない」と言って担当に回す設計が安全です。
運用のコツ
- 最初は“よくある質問10本”分のナレッジ投入から始める
- 回答の末尾に「参照元(文書名・該当箇所)」を出す
- 誤回答が起きた質問は、ナレッジを増やして改善する
KPI例
- 一次解決率(ボットで解決した割合)
- 対応時間(問い合わせ〜回答まで)
- 同一質問の再発率
事例2:依頼受付AI(ヒアリング→チケット起票→担当振り分け)
向いている課題:依頼の情報不足で往復が多い/漏れが怖い/受付が属人化
構築の考え方:チャットで依頼内容を聞き取り、必要項目(期限、対象、添付、承認要否など)を揃えた上で、チケット管理ツールに起票し、関係者に通知します。
運用のコツ(例)
- 依頼種別ごとに「必須質問」を固定する
- “よくある不足”を先回りして聞く(添付、期日、対象範囲など)
- 例外処理(急ぎ、特殊案件)は人にエスカレーション
KPI例
- 差し戻し率(情報不足で戻る割合)
- 初動時間(受付→担当着手まで)
- 完了までのリードタイム
事例3:問い合わせ分類+返信下書き(CS/営業サポート向け)
向いている課題:問い合わせの仕分けが詰まる/一次返信が遅れる
構築の考え方:問い合わせ内容を分類(例:契約、請求、操作、障害、要望)し、適切な窓口へ振り分けます。
同時に返信の下書きを作り、担当者が確認して送る運用にします。
運用のコツ
- 分類軸は最初から細かくしすぎない(5〜8種類程度)
- 返信は“送る前に人が確認”をルール化する
- 良い下書きをもとに返信テンプレのチューニングを行う
KPI例
- 初回返信までの時間
- 分類の正答率(人の判断との一致)
- エスカレーション率
事例4:書類チェック補助(見積・請求・申請書の不備検知)
向いている課題:差し戻しが多い/チェックが属人化
構築の考え方:提出書類から、必要項目・添付・形式をチェックし、不備の可能性を提示します。最終判断は人が担う前提にすると、安全に運用できます。
チェック観点の例
- 必須項目の欠落(氏名、日付、金額、件名、承認印など)
- 添付不足(領収書、見積書、申請根拠)
- ルール違反の可能性(上限超過、事前申請要否)
KPI例
- 不備率(差し戻し発生割合)
- チェック時間
- 月次・週次の処理量
はじめてのノーコード/ローコードツール開発手順
実際にノーコード/ローコードでアプリ開発する際の簡単な流れをご紹介します。
テーマは「件数が多い・定型・判断が単純」から
最初は複雑にしないこと。
FAQか依頼受付は、成果が出やすく、関係者の納得も取りやすいです。
ナレッジは“完璧”より“最小”で始める
最初から全規程を整備しようとすると止まります。
まずは「よくある質問10本に回答できるチャットボット」「種別3つを確実に一次回答とエスカレーションが可能な依頼管理アプリ」など小さく始め、使われた分だけ対応できるナレッジの幅を増やすことで成功率が高まります。
テスト設計を先に決める
AIの怖さは、たまに自信満々で間違えることです。
だから最初から以下を決めます。
- 根拠が出せないなら断定しない
- 不確実なら担当へ回す
- 最終判断は人間にゆだねる
- 誤回答のログを残して改善する
本番運用のガバナンス
ノーコード/ローコードを社内で広げるほど、ガバナンスが効いてきます。
権限設計:誰が作り、誰が直し、誰が見られるか
「誰でも編集できる」は一見便利ですが、運用が壊れやすい。
閲覧・編集・公開の権限を分け、担当交代時の引き継ぎも想定します。
ログと証跡:いつ、誰が、何を変えたか
トラブル対応、監査、説明責任のためにログは重要です。
“作る人”より“使う人”が増えるほど重要度が高まります。
AIに任せない線引き
最終判断・例外対応・個人情報の扱いは人間が管理、AIは補助に徹させる。
ここを明確にすると、安心して導入できます。
よくある質問(FAQ)
ノーコード/ローコードに関するよくある質問をまとめました。
ノーコードとローコードの違いは何ですか?
ノーコードは基本的にコードを書かず設定中心で作ります。
ローコードは設定中心に加え、必要に応じてコードやスクリプトで拡張でき、連携や統制(権限・ログ)まで見据えやすいのが特徴です。
ノーコード/ローコードはどんな業務に向いていますか?
定型的で繰り返しが多い業務に向いています。
例として、問い合わせ一次対応(FAQ)、依頼受付、申請・承認、書類チェック、集計や通知などが挙げられます。
導入でよくある失敗は?
目的が曖昧で使われない、運用担当が決まらず形骸化する、ツール乱立で混乱する、セキュリティ不安で止まるが代表例です。
最初に目的・運用・ガードレールを決めると回避しやすくなります。
ツール選定で最初に見るべきポイントは?
①目的(何を短縮するか)、②連携(普段の業務導線に戻れるか)、③運用(権限・ログ・テンプレ・引き継ぎ)を優先すると選びやすいです。
AIはどこまで任せていい?
受付、分類、案内、下書き作成、チェック補助など「補助的な工程」で使うのが安全です。
承認や最終判断、例外対応は人が担う設計にすると運用しやすくなります。
まとめ:ノーコード/ローコード導入のカギは「運用できる形」を考えること
ノーコード/ローコードは、導入すれば自動的にDXが進む魔法ではありません。
けれど、目的を1つに絞り、小さく作って回し、改善する。このPDCAの回し方ができれば、現場のスピードは確実に変わります。
さらにAI時代は、つなぎAIのように チャット×ワークフロー×ナレッジ×外部ツール連携を組み合わせて、ノーコードで“業務アプリ”を作る選択肢が現実的になりました。
最初の一歩は、FAQか依頼受付。ここから始めるのが、いちばん早く、いちばん失敗しにくいルートです。



















