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WinActor TOP導入事例WinActor®導入事例・自治体編【鹿児島県奄美市役所】高精度なAI-OCRサービスとWinActorの連携により特別定額給付金の支給を最短4日で実現

WinActor®導入事例・自治体編【鹿児島県奄美市役所】高精度なAI-OCRサービスとWinActorの連携により特別定額給付金の支給を最短4日で実現

2020/09/25

公共

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 2020年4月、政府は新型コロナウィルスの感染拡大を防止すべく緊急事態宣言を発令、4月末に成立した補正予算には、家計への支援策として「特別定額給付金(以下、給付金)」が盛り込まれ、住民基本台帳に記録されている人に一律10万円が給付されることが決まりました。緊急事態宣言によって収入が激減する家庭もある中、給付金の申請・支払の窓口となった市区町村には、スピーディで正確な対応が求められることになりました。

 NTTデータではこうした状況を鑑み、社会貢献活動の一環として、紙資料をデジタルデータ化するAI-OCRサービス「NaNaTsu™ AI-OCR with DX Suite」と、RPAソリューション「WinActor」、その利用法を解説したe-ラーニングを、地方公共団体向けに無償提供しました(2020年5月1日~7月31日)。
 約23,700世帯を管轄する鹿児島県奄美市役所(職員約630人)では、これらを活用して申請の受付から給付までを円滑化、6月初旬には大半の給付を終えることができたといいます。

導入業務

・特別定額給付金の申請受付~給付金システム登録までの一連の作業
 (手書き申請書のテキストデータ化、同データのシステム入力など)

ポイント

・約27,000件の申請を、短期間で給付金システムへ自動登録
・申請から最短4日での給付が可能に
・担当者が電話対応などに専念できる環境を実現

2018年からWinActorによる業務効率化に取り組む

 

総務部 総務課 課長補佐 兼 働き方改革担当官の押川 裕也氏

 給付金に関する業務にあたっているのは、奄美市役所の保健福祉部 福祉政策課ですが、その作業の自動化を実現したのは、総務部 総務課 課長補佐 兼 働き方改革担当官の押川 裕也氏と、総務部 プロジェクト推進課の竹山 勝寿氏です。
押川氏とWinActorの出会いは2018年、副市長(当時の総務部長)からRPAによる業務効率化の提案が出されたのがきっかけだったといいます。
「それで年度末に執行残の予算をかき集めて、東京で3日間、WinActorの研修を受けてきました」(押川氏)
 もともと企画調整課 電算係に所属していたという押川氏はプログラミングにも詳しく、WinActorを触ってみて「これはいける」と直感したそうです。
折しも総務省が「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業」の一環として、RPA導入補助事業に係る地方公共団体の公募を行っている時期でした。押川氏は竹山氏と共に提案書類を作成して応募、これが採択されることになりました。導入・運用などの補助事業者にはNTTドコモを選定し、2019年、WinActorを利用して、三つの業務の自動化に着手しました。
 一つ目は職員の健康管理に役立てるため、健康診断や人間ドックの経年データを個人ごとに集約し、経年での数値変化や診断結果が良くない項目を自動抽出するもの。二つ目はふるさと納税サイトから同市への寄付者データを取り込み、専用の管理システムにアップロードしたり、お礼状や寄付受領書の発送をしたりする業務の自動化。そして三つ目は軽自動車税に関する業務の自動化です。従来、課税の基礎となる登録・廃車の情報を管理するために、軽自動車協会から届く紙の書類に記載された情報をチェックし、市の基幹システムに登録する作業は人が行っています。この作業にOCRを投入して記載内容をテキストデータに変換し、WinActorに自動チェック・登録させようという考えでした。
「しかし協会から届く書類には、手書き文字があったり、記入欄にゴム印が押されていたりして、導入したスタンドアロンのOCRでは読めないものが多く、やり方を変えざるを得ませんでした」(竹山氏)

総務部 プロジェクト推進課の竹山 勝寿氏

 こうした誤算はあったものの、自動化による業務改善効果が確認できたことで、両氏はRPAに手応えを感じ、業務効率化を目指して人材の育成にも取り組んできました。
「昨年から希望者12人を対象とした、シナリオ作成の研修を行っています。教えるのは私たち二人です。WinActorをインストールしたノートPCを貸し出して、各自に業務の自動化に取り組んでもらい、今年の2月には成果発表会も行いました」(押川氏)
 

当日は、事業ごとの予算残高をまとめるシナリオや、住民情報システムに介護認定を登録するシナリオ、医療費のチェックシナリオなどが発表され、RPAについての認知度向上だけでなく、研修参加者のさらなる意欲向上にもつながったということです。

手書き文字認識への不安を払拭したNaNaTsu™ AI-OCR with DX Suite

 2020年4月下旬、報道で給付金について取り沙汰されるようになると、奄美市も本格的に対応の準備を始めました。中心となるのは福祉政策課です。同課は2016~2017年に行われた臨時福祉給付金(経済対策分)に対応した実績があり、今回のプロジェクトでもその時のスキーム(図1)を使うことにしていたといいます。

図1: 申請書受付から給付までの流れ(手作業でのデータ投入の場合)

 しかし臨時福祉給付金は対象者が限られており、対応期間も長く設定されていたのに対し、今回は全世帯が対象となる上、短期間での対応が求められます。そこで課員10名に加え、他部署から10~20人の動員が計画されていました。
 この業務はRPAとOCRで効率化できるのではないか ―― 押川氏がそう考えていたところに、NTTドコモから「給付金業務支援のために製品・サービスを無償提供する」という話が舞い込んできます。5月に入ってすぐのことでした。
 押川氏はこの情報をすぐに福祉政策課には持ち込まず、まずは自ら実証実験をすることにしました。OCRの精度に不安があったからです。業務の自動化にあたっては、住民が手書きした大量の申請書類をOCRでデジタル化しなければなりませんが、2019年に行った軽自動車税の業務自動化実験では、その工程がネックになっていました。

RPA作業中のPC

「今回提供されたAI-OCR(NaNaTsu™ AI-OCR with DX Suite 以下NaNaTsu™)に、テスト用に手書きした書類をスキャンして読ませてみたところ、『こんなに認識率がいいのか』とビックリするほどの精度でした。これならWinActorにテキストデータを渡して、システムに自動入力させることもできるだろうと、給付金事業向けのシナリオづくりをスタートしました」(押川氏)

給付は6月初旬までにほぼ完了、職員の負担軽減と住民サービスへの貢献を両立

 WinActorとNaNaTsu™を活用した、同市の給付金事業の作業工程は(図2)の通りです。

図2: AI-OCR 及び RPA導入後

まず(1)開封と記載内容のチェック、(2)スキャンまでを人が行います。スキャンされたデータはWinActorにてクラウドへアップロードされ、(3) WinActorがクラウド上のNaNaTsu™ へと読み込み指示を出します。(4)NaNaTsu™によってデータ化された記載内容は、(5)CSV形式でダウンロードできるようなります。(6)そのデータをWinActorが市の給付金システムへ入力するという流れです(振り込み作業は人が実行)。
 NTTデータではこうした利用方法を想定し、各ステップで使用できるWinActor用のシナリオも同時提供していました。奄美市のケースでは(3)、(5)のステップにそれらをそのまま利用しているとのことです。
 (6)給付金システムへ自動入力にあたっては、押川・竹山両氏がオリジナルのシナリオを開発しました。開発にあたっては、WinActorが動作エラーを起こす原因となりそうなポイント、例えば金融機関コード・支店コードの記載間違いや、住民台帳に登録されたフリガナと金融機関の口座名義に起こりがちな表記のズレなどをピックアップし、事前にデータのクリーンナップや対応シナリオの準備を行ったり、もしエラーが出たらログだけを残して、該当項目の処理をスキップする工夫をしたり、“止まらないシナリオ”をつくることを心掛けたといいます。
 およそ2週間かけてシナリオづくりと一連の動作確認を終え、できあがったものを福祉政策課の担当に持ち込むと、すぐに採用が決定し、現場に投入されることになりました。
この支援システムにより、多い時には1日約4,000件もの自動入力が可能となり、稼動6日目には、当初予定していた他部署からの動員を半数に、10日目にはとうとうゼロにすることができました。課の職員の負担も大幅に減り、問い合わせの電話対応や、記載内容に不備があるケースの対応など、人にしかできない仕事に専念できるようになったといいます。
「最短4日、平均6日以内での給付ができ、住民サービスの向上に貢献できたと思っています」(竹山氏)

給付金室の作業風景

7月上旬には約23,000件、ほぼすべての給付処理を完了した奄美市。 “スピード感”を言葉だけではないものにした同市の給付事業はニュースでも採り上げられ、近隣市町村から、業務の自動化に関する相談も寄せられているといいます。押川・竹山両氏は今後、敬老祝い金の振り込み給付や、2020年10月に実施される国勢調査などにWinActor、NaNaTsu™を利用できないか、担当部署と調整中だとのことです ―― 観光の名所・奄美は、これからデジタル技術活用の名所としても、その名を馳せるようになるかもしれません。

 

※NaNaTsu™ AI-OCR with DX Suiteについてのお問い合わせはこちらから

 

自治体概要

地方公共団体名

奄美市役所

所在地

鹿児島県奄美市名瀬幸町25番8号

人口

42,674人

ウェブサイト

https://www.city.amami.lg.jp/

 

WinActor販売特約店

会社名(商号)

株式会社NTTドコモ

本社所在地

東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー

取扱商品

WinActor、WinDirector、WinActor Manager on Cloud、DX Suite、NaNaTsu AI-OCR with DX Suite

ウェブサイト

https://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/winactor/

RPAソリューションのお問い合わせ先

https://www.nttdocomo.co.jp/biz/

※「お問合せ」よりご連絡ください。

(2020年8月現在)

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