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WinActor TOP導入事例横浜市 | 小中学校における就学援助申請の審査にかかる一連の業務をRPA化したことで作業量が約6割減。業務の見直し・改善において波及効果も

横浜市 | 小中学校における就学援助申請の審査にかかる一連の業務をRPA化したことで作業量が約6割減。業務の見直し・改善において波及効果も

2023/04/27

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横浜市導入事例

横浜市教育委員会事務局 学校教育企画部 学校支援・地域連携課 就学係では、経済的な理由で就学が困難な横浜市立小・中・義務教育学校の児童生徒の保護者に対して、学用品費、学校給食費、修学旅行費などを援助し、就学を奨励する制度を設けています。同課が処理しなければならない就学援助申請書は年間3万件を超え、これまでは10人の職員が紙とエクセル、ACCESS等を突き合わせながら手作業かつ目視での確認作業をしていました。

しかし令和3年度にRPAソリューション「WinActor」とAI-OCRツール「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」を導入したことで、業務効率化において飛躍的な変化があったようです。

  • 導入業務
    手書きの就学援助申請書をAI-OCRで文字データ化
    文字データ化された申請書の審査にかかる一連の業務を自動化
  • ポイント
    審査業務の効率化によって、残業時間を2000時間削減
    改善意識が身につき、他の業務でも積極的に効率化を実行

繁忙期には3万件もの処理を10人で

就学援助の審査における主な基準のうちの一つが申請世帯の所得です。ただし、世帯全体の所得を単純に合計すればよいものではなく、記載内容を確認しながら各種控除の金額を差し引く必要があり、判断が難しい処理も少なくありませんでした。

加えて「だれ一人取り残さない」との思いのもと、誰でも申請しやすいように紙での申請を採用しているため、紙とエクセル、ACCESS等複数の情報を突き合わせて一件一件内容を手作業かつ目視で確認する手間が生じていました。

また、記載内容に不備がある申請が全体の1割ほどあり、修正処理も求められます。受付から書類整理、申請者情報の抽出作業、所得情報の確認と審査、審査結果の送付……それら大量の煩雑な業務に10人であたらねばならず、繁忙期には職員に大きな負担がかかっていました。

担当係長の郡司 秀幸氏は同課に着任した当初、同僚たちが疲弊している姿を目にし、「この状況をどうしても改善したい」と強く思ったそうです。「マンパワーや長時間労働では解決しないこと」を周囲に伝えるために、率先して業務改善にあたり、その成果をもってRPA化を一気に進めようと考えたのでした。

郡司氏は、業務効率化のためのさまざまな方法を模索・検討するなかで、平成30年度に横浜市庁内でRPAの実証実験が行われていたことを知り、実証実験を行った関係部署にヒアリングを行いました。さらに、「WinActorラウンジ」(WinActorユーザーや導入を検討している企業などを対象としたユーザー会。ユーザーの成功事例やAIと組み合わせたソリューションを紹介)に参加するなど、業務効率化について深く検討を進めていくなかで導入の可能性を見出し、2ヶ月のトライアル実施後、本格導入に向けての準備期間に入りました。

横浜市導入事例
(担当係長 郡司 秀幸氏)

正読率は98%。業務効率化に高い効果を実感

まず、導入にあたっては反対もあったそうです。

「これまでしてきたことは非常に難しい仕事であって、それを機械にやらせて作業自動化するなんて絶対に無理だ、任せられないという意識が根強かったですね」

そんな中で郡司氏は、このような仕組みを導入することでどのような効果が得られるのか、身近な業務を挙げながら改善の筋道を見せ、業務効率化のイメージを共有することで職員たちの懸念を払拭していきました。実際にサンプルシナリオを作成し実演して見せるなど、実績を積み上げることが、最大の説得材料であると郡司氏は語ります。

導入後、紙の申請書を文字データ化することから始めました。

「正読率が非常に高く、業務をスムーズに進めることができるためとても満足しています。正読率は98%くらいでしょうか。保護者による記入が申請書の枠内からはみ出ていても、ある程度は読み取ってくれます。出力されるデータを加工することもでき、高速の処理につなげることができました」

また、NaNaTsu® AI-OCR with DX Suite/WinActorに画像を自動アップロードするシナリオや、出力された文字データのファイルを学校名ごとにリネーム・フォルダ分けするシナリオなども郡司氏が自ら作成。その後も、揃ったデータをもとに自動的に審査を行うなど各種シナリオを追加し、数多くの作業の自動化を実現しました。

「審査の作業はそもそも人が行っても困難な業務なので、RPAで判断するための場合分けや分岐を改めてしっかり整理することが一番大変でした。シナリオ作成自体は、初学者でも仕組みを理解しながら取り組めば、ゆっくりでも一歩一歩着実に進めることができたと思います」

残業時間を2000時間削減

導入後、職員たちからは「非常に助かった」「楽になった」「家族や子どもとの時間が増えた」と喜びの声が上がったといいます。

実際に、導入前の令和2年度と導入後の令和4年度とで、年間を通じた同課10人の延べ超過勤務時間を比較すると、なんと2000時間以上の削減につながっていました。

これまでは1件あたりの処理に通算5分ほどかかっていましたが、現在では2分弱にまで縮めることができ、作業量も全工程のうち約6割削減できたのです。

結果、繁忙のために着手できてこなかった様々な課題に対しても取り組めるようになり、さらに個々の作業を見直したのではなく、一連の業務として包括的に見直したことによって、他の業務に対しても効率化を図れるのではないかという議論につながりました。

「就学援助に関する業務はその作業量が大きなものだったので、自動化による改善の効果もまた大きく非常にインパクトがありました。それに伴って現在は高校奨学金に関する業務に自動化を導入していますし、来年度からは個別支援学級就学奨励費の方にも導入する予定となっています。業務効率化できる部分はどんどん改善していくという意識づけができた点を含め、波及効果もあったと言えるのではないでしょうか」

また、横浜市役所内でのさまざまな業務改善の取り組みを評価する「よこはまONE TEAM賞」(令和4年度創設)において、同課の業務自動化の取り組みが副市長賞を受賞しました。寄せられた100件近い取り組みのうち、市長賞は1件、副市長賞は3件だったそうです。この表彰と前後して取り組み内容が全庁的に共有され、何件もヒアリングを受けたそうで、将来的には課や局を越えた連携も視野に入れているようです。

成果を土台に、さらなる課題解決へ

システムの導入と聞くとつい身構えてしまいがちですが、心理的なハードルを乗り越えれば日常業務の中で様々な部分に活用することができます。郡司氏は、RPAの利点が「日常業務を気軽に自動化できること」だと語ります。

郡司氏は数あるツールの中でも「国産のRPA」を重視しました。“導入担当者が理解しやすく後任の人も引き継ぎやすい、できるだけ操作性が良く、使用時のハードルが低いもの”が継続的な運用には必要だと考えていたそうです。そのうえで、個人情報保護の観点から、セキュリティ上問題なく使用可能なLGWANネットワーク上にAI-OCRのシステムを構築していることが必須であり、RPAとAI-OCRの連携についてのノウハウを持ち、システムの提供について包括的なサポートを実施できるNTTデータが今回のRPA導入のパートナーに選定されました。

「RPAは繰り返し作業が得意分野なので、簡単な作業を繰り返すような日常業務への導入から始めて、利用者がRPAをどんどん普段使いすることでスキルを高め、さらに難しい課題にむかって活用するのが効果的だと考えています。」

教育委員会事務局の業務は各学校との連携が欠かせない上に、児童生徒や保護者に至るまで、非常に多くの人と関わりながら進める必要があります。今回の取り組みによって事務局の業務を削減することには成功しましたが、学校事務は未だ繁忙であり、業務改善の余地は残っていると郡司氏は言います。

今後、全国的なシステム標準化の流れの中で、学校や児童生徒に関わる様々な制度・事業おいてデジタル化がさらに進められると予想されます。そうした流れとも歩幅を合わせながら、よりよいサービス提供に努めていきたいと考えているそうです。

横浜市導入事例

※課名、補職は令和4年度(2022年度)のものです。

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