SATO社会保険労務士法人 | いち早く行政手続きのデジタル化に対応、 e-Govでの電子申請・公文書ダウンロードを効率化
人材ビジネスや給与計算などのアウトソーシング・ビジネスを幅広く展開するSATOグループ。その中核となっているのが、SATO社会保険労務士法人です。同社は北海道から沖縄まで全国に7オフィスを有し、企業の労務管理や手続き業務を受託しています。クライアントは大手企業をはじめ5,500社以上、業界最大手の社労士法人です。
同社では2017年からWinActorによる業務の自動化に取り組み、総務省が運用している電子申請システム「e-Gov」の利用効率化、労働保険や社会保険手続データ送受信の円滑化などを実現しています。
・e-Govでの電子申請・公文書のダウンロード作業
・社会保険手続システムにおける手続情報ファイルのダウンロード作業
・WinActorを24時間365日稼動させることで、煩雑な作業から人が解放された
・自動で記録したダウンロード・ファイル数を、業務負荷の指標として利用できるように
月30,000件以上の手続き代行を効率化するため、RPAに注目
社労士の仕事の中で最も多いのは、労働保険や社会保険などに関する書類の作成と申請の代行です。入社・退職はもちろん、社員が結婚して姓が変わったり、引越で住所が変わったりした時に必要な行政手続きを、クライアント企業の人事・総務部に代わって行います。多くのクライアントを抱えるSATO社会保険労務士法人の場合、その手続き件数は月間30,000件にもなるといいます。
2015年、総務省が電子申請システム「e-Gov」の運用を開始したことで手続きのデジタル化が進み、現在は書類作成・申請・申請受理後に発行される公文書のダウンロードなどをオンラインで行えるようになっています。SATO社会保険労務士法人でも、e-GovとAPI連携できるソフトウェアを通じてこの作業を行っていましたが、そこには課題がありました。
申請済みの手続きデータについては、そのデータが正常に受理されたかどうか、また、受理後に発行される公文書(決定通知)が発行されたかどうかの照会作業が必要であり、発行された公文書についてはその申請データ毎に公文書ファイルをダウンロードする必要がありました。この照会とダウンロードの作業工数は申請済み件数に比例して多くなり、繁忙期には当該作業自体が遅れてしまったりする可能性がありました。
この作業工数削減の手段として2017年、同社・札幌オフィスはRPAに着目しました。導入を任されたのはお客様担当の辻 孝征氏と、システム関連業務を担当する竹澤 正氏です。
「公文書の回収は誰がやっても同じ、つまり考える必要がないので、RPAには向いていると考えました」(辻氏)
「この作業を自動化できれば、全社的に大幅な工数削減になると思って取り組みました。当時、RPAツールはいくつかありましたが、国産で分かりやすく、プログラミング知識のない社員にも抵抗感なく使えること、さらにメーカーの信頼度などを考え合わせWinActorを選びました」(竹澤氏)
出力メッセージの画像マッチングにより、エラーを回避
最初のシナリオ開発には、プログラミング知識のあった竹澤氏が、単独で取り組みました。
「WinActorの講習などは受けませんでしたが、試行錯誤しながらやっているうちに、だんだん思い通りに動くシナリオが書けるようになりました。特約店のNTTデータ北海道や富士フィルムイノベーションジャパンの方々が『気軽に相談してください』と言ってくれたり、シナリオ開発のヒントをくれたりしてくれたのも、RPA初心者の私には心強かったですね」(竹澤氏)
完成したシナリオは、先述したe-Gov対応のソフトウェアを操作して、同社が代行した申請の状況をクライアント毎に照会、受理されて公文書が発行されているものがあれば、それをダウンロードして保存するというものです。
「A社の申請の進捗を照会、受理されて公文書が発行されていれば、それをダウンロードして保存、次にB社の分を照会して、公文書があれば保存…という具合に、クライアント企業の数だけ、延々と照会とダウンロードを繰り返すのです」(竹澤氏)
1,000社を超えるクライアント企業分の作業を行うために、約60台のPCにWinActorをインストールし、それぞれに担当企業を振り分けて対応させました。
特に注意したのは、処理切り替えの判定だったといいます。
「発行されている公文書が多ければダウンロードには時間がかかります。ダウンロード中はWinActorが次の作業を始めないよう、一定時間シナリオをループさせて、待機状態にする必要があります。しかしe-Govに確認に行くまで、A社の申請のうち何件が公文書の発行にまで至っているか、B社では何件か…といったことは分かりません。A社のダウンロードが終わる前に、WinActorがB社の作業を始めてしまっては困るので、ソフトウェアが出力するメッセージの表示内容を画像マッチング機能で検知させ、ダウンロードの完了、またはエラー発生などの結果に応じて適切な後続処理に進むよう制御しました。」(竹澤氏)
WinActorなら24時間365日休みなく稼動させることができ、人が申請の進捗具合を気にかける必要も、公文書が発行されていないうちに照会して時間を無駄にすることもなくなり、以前より効率的に公文書を回収できるようになりました。
その後、竹澤氏はさらに工夫を凝らします。まずWinActorに社内のデータベースにアクセスさせてクライアントごとの申請数を取得、その数に応じて照会をかけるときの検索条件を最適化できるようにしました。例えば申請の多い企業は日付などの条件で細かく絞ることで照会を複数回に分割したり、申請がない企業の処理はスキップさせたりするのです。これによって1日あたりの確認回数を増やすことができました。
このように進捗確認・公文書ダウンロードのデジタル化・自動化を早い段階から進めていたことで、2020年4月に社会保険の電子申請が義務化(※)された際にも、余裕を持って対応に望めたといいます。
※義務化は資本金1億円超の法人などを対象としている
WinActorがダウンロードしたファイル数を、業務負荷の指標に
データ・ダウンロードのシナリオは、クライアント企業や提携先企業との社会保険手続情報のやり取りにも応用されています。クライアント企業の社会保険手続情報のデータは、提携先企業のシステムを介して授受を行っているものが多数ありますが、これをWinActorが定期的に巡回してダウンロードしてくるようになっています。
「行政への届け出に必要な情報をはやく取得できれば、それだけ余裕を持って手続きを進められます」(竹澤氏)
またWinActorによるダウンロード・ファイル数をクライアント企業ごとに可視化し、それぞれの担当チームにかかっている負荷を推し量る指標として利用することもできるようになりました。
「従来はどのチームがどのくらいの仕事を抱えているのか、外からはなかなか分からなかったのですが、ひとつの指標ができたことで、負荷に応じた仕事の配分や業務改善などにも役立てられるのではないかと考えています」(辻氏)
――札幌オフィスで始まったRPA化への取り組みは、公文書ダウンロード用のシナリオが全社的に採用されて以降、それぞれの拠点へも拡がりつつあります。東京オフィスでは、電子申請自体を自動化するシナリオが開発されました。
「シナリオ開発は拠点ごとに行われていますが、汎用性の高いシナリオができると、グループウェアで情報が回ってくるようになっています。また月に一回行われる管理者レベルのオンライン会議でも、情報共有が行われています」(辻氏)
多忙な本業と兼務しながらでも、WinActorに取り組もうという人が徐々に増えてきた同社。竹澤氏はさらなる自動化・効率化への展望を、こう語ります。
「どの業務に工数が一番かかっているのか、負荷が多い手続きはどんなものなのかなどをメンバーからヒアリングしながら、より効果的なRPA化を図っていきたいですね。また、全拠点で使える汎用性のあるシナリオだけでなく、細かい業務も拾い上げて自動化し、社員一人ひとりの業務改善に役立てればとも思っています」
会社概要
会社名(商号) |
SATO社会保険労務士法人 |
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本社所在地 |
北海道札幌市東区北5条東8丁目1番33号 |
事業所所在地 |
東京/札幌/大阪/名古屋/福岡/沖縄 |
設立 |
2003年4月 |
事業概要 |
労務管理(社会・労働保険手続き)全般および労務相談業務 助成金申請に関する手続き全般 |
ウェブサイト |
https://www.sato-group-sr.jp/index.html |
WinActor販売特約店
会社名(商号) |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ北海道 | 富士フィルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 北海道支社 |
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所在地 |
北海道札幌市中央区北2条西4丁目1番地 北海道ビルヂング 4F | 北海道札幌市中央区大通西6-1 富士フイルム札幌ビル 6F |
取扱商品 |
WinActor、WinDirector、WinActor Manager on Cloud |
WinActor、WinDirector |
ウェブサイト |
https://www.nttdata-hokkaido.co.jp/ | https://www.fujifilm.com/fb/company/fbj |
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(2021年10月現在)