株式会社そごう・西武 | コロナ禍のニーズに応える、デパ地下商品宅配サービス ブランドごとへの煩雑な発注票作成を、WinActorで効率化
株式会社そごう・西武 e.デパチカスタッフの皆さん
新型コロナウィルスの感染拡大により様々な業界が大きな経済的打撃を受けていますが、一方でコロナ禍ならではの消費者ニーズに応えつつ、窮地を乗り越えようと工夫を凝らす企業も数多くあります。
大都市型からショッピングセンター型まで、国内10店舗で多様な店舗展開を行う そごう・西武もそのひとつ。
食品売り場の商品を顧客のもとへ届ける「e.デパチカ」サービスにより、顧客の満足度向上と売上の確保を図っています。
このサービスの円滑化・効率化に貢献しているのが、RPAソリューション「WinActor」です。
・デリバリーサイトから届いた注文を、ブランド(テナント)ごとへの発注票に自動変換
・手動で1注文あたり5分かかっていた作業が自動化され、人手を他業務に回せるように
デパ地下グルメを宅配、顧客満足度の向上に努める
e.デパチカのサービス開始に向けたプロジェクトが起ち上がったのは、2020年12月、国内では「第3波」と呼ばれる感染者の増加が見られている時期でした。
「混雑した店内を避けたいというお客様のご希望に応えながら、これまで通りの利便性を提供するために、デパ地下グルメを宅配するサービスとして、e.デパチカの検討を始めました」と、そごう・西武 デジタル戦略本部の井上 雄三氏は説明します。
コロナ禍以前より、顧客からは「急な来客にも美味しい料理を出したい」「悪天候の際には自宅まで食品を届けて欲しい」という声が寄せられており、それに応える意味合いもあったといいます。
「そば屋ならそば、ピザ屋ならピザが中心ですが、デパ地下は和・洋・中、ご家族それぞれが好きなものをお届けできるのが強みになると考えました。さらにこのサービスを通じて、これまで当社の店舗に馴染みのなかった方々に、そごう・西武を知っていただきたいという思いもありました」
そごう・西武池袋本店で、実際にe.デパチカのサービスがスタートしたのは2021年2月、顧客からの受注・宅配にはデリバリー総合サイト「出前館」を利用し、配送可能エリアは池袋本店から半径4km圏内としました。当初は同店に出店しているブランドや取引先を中心に80ブランド、取扱品目は惣菜、弁当、スイーツ、ワインなど250でしたが、顧客からの要望に合わせてパンやクラフトビールを加えたり、期間限定商品を展開したりしたことで、「百貨店ならではのサービス」として好評を得、注文も増えてきていました。
注文数の増加によってヒューマンエラーが課題に
注文が増加してきたことで、現場からは「嬉しい悲鳴」も聞こえるようになってきました。
「一般的な飲食店であれば、注文のあった商品をセントラルキッチンや厨房で調理して発送すればいいわけですが、e.デパチカの場合は注文のあったブランドごとに発注票をつくって、それを届けるという工程が必要なのです」と、実際に業務にあたるデジタル戦略本部 e.デパート部e.デパチカ担当 小路 英男氏は言います。
1 出前館から受注
2 注文内容をブランド宛の発注票として作り直す
3 発注票をピッキング・スタッフへ
4 ピッキング・スタッフが各ブランドを周って商品をピッキング
5 集荷の宅配スタッフと商品を確認、宅配
当時は担当者が、出前館から届く注文をタブレットで確認し、手作業でブランドごとの発注票(Excel)に作り替えてプリントアウト、ピッキング・スタッフに渡すというのが業務の流れでした。しかし一件の注文に複数ブランドの商品が含まれることもあるので、発注票をつくる作業は複雑になり、注文数が一日40~50件を超えた2021年4月頃からはヒューマンエラーが発生するようになっていたのです。
池袋本店の「西武食品館」は2フロアに跨がっており、発注票の間違いはピッキングの時間的ロス、スタッフの体力消耗にもつながります。また注文が重なる昼前や夕方には、発注票処理に遅れが生じるようにもなっていました。
2021年7月の東京オリンピックが開幕すれば、注文数はさらに増えると見込まれており、解決は急務でした。
WinActorによる自動化で、作業エラー削減と効率化を実現
課題の解決策として注目されたのが、WinActorでした。
同社の他部署では2017年より日報作成や経理処理などにWinActorが利用されており、自動化・効率化で実績がありました。それを知った小路氏は「e.デパチカでもWinActorを採用しよう」と決め、4月中にはWinActorの特約店であるSHIFTが導入・運用支援に入ることが決まりました。
SHIFTでは、そごう・西武の事務所や西武食品館を実際に歩き、e.デパチカの業務フローをチェック、さらに帳票類に関して現場から上がってきた要望を踏まえた上で、発注票の自動作成シナリオをつくっていきました。
「その間にも受注件数がどんどん増えてきて、発注票の出力が間に合わなくなるのが目前でした。シナリオの完成を今か今かと待っていました」と、小路氏は当時を振り返ります。
最初のシナリオは作成開始から1週間ほどで完成しました。
注文をなるべくリアルタイムに処理できるよう、WinActorのタスクスケジューラー機能を利用して1分おきに注文を確認し、新規のものがあればすぐに発注票にしてプリントアウトするというものです。
そこからさらに1週間かけて、現場での使い勝手に合わせた微調整を行い、7月には本格運用が始められるようになりました。
発注票自動出力シナリオ
「人が行っていたときのような間違いはなくなりましたし、1件あたり5分かかっていた発注票作成が1分にまで短縮され、しかもそれを担当していた社員の負担が大幅に減りました。今は1~2名が確認作業だけを行えば良くなり、その分他の業務に当たれるようになったのが有り難いですね」(小路氏)
増加する注文処理に必須となったWinActor、他店舗への展開も視野
2021年11月には出前館の他に、自社でも受注~発送までを行える体制を整え、チャネルを増やしたe.デパチカ。2022年2月現在、商品は100ブランド550品目、配送エリアも半径5kmにまで拡大しました。注文は2022年の冬季五輪でさらに増え、出前館経由のものだけでも日に90~100件になっているそうです。
「もう現場がWinActorでの受注になれてしまっているので、これが止まると非常に困ったことになります」(井上氏)
「ただ困ったときにはSHIFTさんに『助けて』というと、痒いところに手が届く対応をしてくれるので、安心です」(小路氏)
現在はそごう・西武池袋本店でのみ利用されているこのシナリオですが、将来的には出前館を利用してe.デパチカを展開している他店舗にも、横展開できるのではないかと考えているとのことです。
RPAの普及率が高まっている今、既にサーバ集約型やクラウド型のRPAソリューションを導入して、ロボットの管理を徹底している企業も多いことでしょう。
しかし今回の事例のように利用範囲が限られた作業の自動化には、(もちろん運用者・管理者を明確にした上で)むしろWinActorデスクトップ版のような、簡単に開発・導入できるツールを選んだ方が、コスト面でも効率面でも大きなメリットを生むと言えるでしょう。
会社概要
会社名 |
株式会社 そごう・西武 |
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本社所在地 |
〒102-0084 東京都千代田区二番町5番地25 二番町センタービル |
創業 |
天保元年(1830年) |
ウェブサイト |
https://www.sogo-seibu.co.jp/index.html |
WinActor販売特約店
会社名 |
株式会社SHIFT |
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本社所在地 |
〒106-0041 東京都港区麻布台2-4-5 メソニック39MTビル |
取扱商品 |
WinActor |
ウェブサイト |
https://www.shiftinc.jp/ |
RPAソリューションのお問い合わせ先 |
▽以下よりお問い合わせください https://service.shiftinc.jp/service/consulting/rpa/ |
(2022年4月現在)