WinActor®導入事例【中小企業事例/のぼり屋工房株式会社】見積システムから基幹システムへのデータ引き継ぎをRPAに移植、従業員異動にともなう人手不足問題を解決
少子高齢化時代の到来を迎え、人員の充足に悩む企業は少なくありません。岡山市の、のぼり屋工房株式会社は、お客さまからいただいたオーダーメイド製品の受発注処理にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入。欠員が発生した部門に新たな人を採用することなく、業務の継続を可能としました。
【導入の狙い】従業員の異動にともない発生する1日あたり5時間分の作業を欠員補充することなく処理する。
【導入の効果】1日あたり3~4時間ほどの人間の作業量をRPAが代替、従業員の効率的な配置が可能に。
事業を拡大する一方で、業務簡素化、効率化の両立も
のぼり屋工房株式会社は、P・O・Pホールディングスグループの一員として、“のぼり旗”など店舗の販促、宣伝を担うグッズを企画、販売しています。
「のぼり屋工房は営業部門という位置づけで、印刷を担当する『P・O・Pカンパニー株式会社』、縫製加工を担当する『ジャパンソーイングネットワーク株式会社』、さらに新規事業を育てる『P・O・Pトレーディング株式会社』とともにグループを形成しています。私は現在P・O・Pカンパニーに所属していますが、ホールディングス制が立ち上がって間もないこと、また、自身がのぼり屋工房で仕入れや販売管理でキャリアを積んできたことから、私がグループ内のICT関連業務を横断的に管理しています」(河瀬氏)
こうした立場にある河瀬氏は、同社の中期的な目標である「業務の簡素化、効率化、自動化」をICTの分野で実現すべく、日々情報収集に励んでいました。
「ただ、やはり自分がシステム部門専任ではないため、なかなかその具体策を見つけることができずにいました」(河瀬氏)
「人の手」で処理していたオーダーメイド商品の受発注管理
そんな河瀬氏のところに届いたのが、RPA製品「WinActor」を紹介するダイレクトメールでした。
「ダイレクトメールにあった『業務の自動化』というフレーズが目に止まりました。ただ、RPAがどういったものかよく分からなかったので、まず説明に来ていただき、さらに講習会に私が参加しました。そこで詳しい話をお聞きし、その概要がつかめました」(河瀬氏)
実はこの時、同社は一部商品の受発注管理を担当する従業員の異動が決まっており、その後任が課題となっていました。
「弊社にはカタログ販売の既製品事業とオーダーメイドの別注品事業があります。既製品は品番などがすでに決まっているため、基幹システムへ直接受注入力が可能ですが、別注品は営業部の社員が基幹システムとは別の見積システムを使って処理し、お客さまとのやりとりの末、まとまった受発注データを基に改めて基幹システムに入力する必要がありました。その受発注管理のデータ量は1日あたり250点から300点で、異動する従業員はその処理に約5時間かかっていました」(河瀬氏)
欠員補充することなく、RPAの業務への組み込みを決断
同社は当初、この業務を引き継ぐ新たな従業員の雇用を考えていました。ところが、求人広告を3ヶ月ほど続けましたが、反応はゼロでした。
「タイムリミットが迫る中、最終的に後任採用の代替案としてRPAの導入を決めました。導入にあたっての研修があること、また2ヶ月間は無料試用できることも、導入を決めるにあたっての大きな決め手となりました」(河瀬氏)
研修の内容も、そして実際の業務をRPAに移植する段階でも、河瀬氏に大きな戸惑いはなかったと言います。
「パズルを組み立てるようなシナリオ設計に、これまで生産管理の部門でExcelのマクロ作成を多数手がけてきた経験が活きました。また、個人的にもそうしたインターフェイスに親しみがあったことも大きかったと思います。不明な点も個別にベンダーに問い合わせ、適切なアドバイスがもらえました」(河瀬氏)
ただ、その一方で、人間がやっていた業務の流れをそのままRPAに引き継げない部分もあったとのことです。
「2ヶ月の試用期間で試行錯誤を続け、工程を調整しました。従来は見積システムから抽出したデータを人の手で整理して基幹システムに入力していましたが、RPA導入にあたって抜本的な業務改善を図り、最終的にはデータを無人で基幹システムに引き継ぎ、エラーが出た場合は人間が確認し、修正することにしました。人の仕事の完全な置き換えにはなっていませんが、それでも人間の労働時間にして5時間のうち3~4時間くらいはRPAが処理できるようになったので、大きな効果があると思っています」(河瀬氏)
そ
▲シナリオ設計を行う河瀬氏
将来的には社内他部門へのRPA導入でさらなる業務効率化を
こうしてRPAが業務に組み込まれた状況を、河瀬氏はどのように感じているのでしょうか。
「今RPAは、1ライセンスの導入で、RPA化した業務の稼働時間は1日あたり2時間くらいです。ただ、直接的な稼働時間だけではなく、毎日決まった時間に動かせること、人間が作業する上でムダの要因となる『待ち時間』を考えなくていいこともRPAのメリットとして評価したいですね。またRPAは、業務の流れを見直す良いきっかけにもなりました。会社の方針である簡素化、効率化、自動化のためには、業務の流れの見直しが欠かせません。しかし、毎日の業務が動いている中では、立ち止まって見直すという行動には、なかなか至りませんから」(河瀬氏)
最後に、今後社内でRPAを活用する構想についてうかがいました。
「先ほど申し上げたように、RPAの稼働にはまだまだ余力があるので、さらに多くの仕事を任せるようにしたいと思っています。ただ、それにはきちんとしたシナリオの設計が必要です。私はたまたま親和性があったのでそれほどの苦労はしませんでしたが、各部署でRPAを効果的に使うには、トレーニングによるシナリオ設計のスピードアップや、業務に携わる人自身のRPAへの意識づけが必要だと思います。そうして培ったノウハウが全社に継承されていくことは、将来きっと大きな財産になるはずです」(河瀬氏)
会社概要
会社名 | のぼり屋工房株式会社 |
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創立 | 2003年(平成15年)6月 |
本社所在地 | 岡山県岡山市南区浦安南町220-1 |
代表者 | 玄馬 宏昭 |
資本金 | 1,000万円 |
事業内容 | 販促用品の企画、販売 |
ウェブサイト | https://www.noboriya-kobo.co.jp/ |
※本記事は、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会発行『テレコム・フォーラム』2018年10月号に掲載された内容を使用しております。なお、使用に当たっては、公益財団法人日本電信電話ユーザ協会の承諾のもと使用しております。