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JCアカウンティング | 「無くなる仕事」の効率化によりデジタル・デザインの視点を醸成、「無くならない仕事」を強くする

写真左より : 株式会社JCアカウンティング 会計グループ・ディレクター 西 進也氏/デジタルデザインチーム・シニアスタッフ 籾山氏

 2013年オックスフォード大学オズボーン准教授が論文『雇用の未来」の中で、「消える職業・なくなる仕事」に「簿記、会計、監査の事務職員」「給与・福利厚生担当者」を挙げていますが、これらの業務を取り扱う株式会社JCアカウンティングではこの論文とは逆に、クライアント数は毎年10%増加しているそうです。

 株式会社JCアカウンティングは、外資系企業の日本子会社に対して記帳代行、支払代行、給与計算代行の3つの業務委託サービスを行う企業です。クライアントの従業員規模は1名から20名程度の小規模な法人がほとんどで、現在60名ほどのスタッフが300社あまりの外資系企業の法人に対してサービスを提供しています。今回は、会計グループ・ディレクターの西 進也氏にお話しを伺いました。

増加する業務に対応するため、生産性2倍を目指す「デジタル・サバイバル・プラン」の立ち上げ

 同社では、以前は紙情報に基づいて情報をデジタル化することから業務がスタートし、この作業に時間がかかっていました。昨今はクライアントのデータは初めからデジタル情報なのが珍しくなくなったものの、スタッフ一人あたりの処理する情報量が毎年増え続けており、クライアントの増加スピードと増加する情報量にスタッフの採用が追い付かないという課題を抱えていました。またクライアントのシステムに直接アクセスして業務を行うケースが増加し、クライアントの数だけ業務フローが生まれてしまう状況に陥っていました。

 2019年にそのような状況を踏まえ、業務の量が増えると必然的に人員補強が必要となる生産体制を変革することを狙いとし、業務の属人化をやめ、生産性2倍を目標とする「デジタル・サバイバル・プラン」のプロジェクトを西氏が主導し、立ち上げを行いました。デジタル・サバイバル・プロジェクトのゴールは3つあり、一つ目は「社内業務プロセス全てをペーパーレスにすること」、二つ目は「在宅勤務が可能な業務フローの確立」、三つ目は「どのメンバーが1か月有給をとっても業務に支障がない体制づくり」でした。

 この「デジタル・サバイバル・プラン」への取り組みを開始し、一つ目と二つ目のゴールは、コロナ禍における世の中の要請という外部圧力もあり、予想に反して完璧にクリアできましたが、三つ目の「どのメンバーが1か月有給をとっても業務に支障がない体制づくり」の解決の目途が立っていませんでした。そこで2020年夏にこの三つの目のゴールを達成すべききっかけとなるRPAというソリューションに出会い、WinActorを導入したということです。しかしながら、導入当初はWinActorのライセンスを購入したもののうまく使いこなすことが出来ず時間が経過するばかりだったといいます。

組織内の異なる部門が同じデータを入力していることへの気づきから、部門横断的な業務へのWinActor適用へ

籾山氏

 「WinActorをうまく使いこなせなかったのは、選定した業務プロセスとプロセスを標準化する知恵不足でした。」と籾山氏は振り返ります。
「個別のクライアント業務に対してシナリオを作成したところ、一月経つとクライアントの外部的要因から再度シナリオの再作成が必要となる事例が発生しました。いくつもシナリオが使えなくなる現状を目の当たりにして、「自分たちがコントロールできる業務に対してシナリオを作成する」という発想転換に至りました。」(籾山氏)

 同社ではWinActorで自動化する対象として選択すべき業務プロセスは、個々のボリュームの多い単発業務ではなく部門横断的な業務であることとし、さらに組織内の異なる部門が同じデータを共通して利用していることに着目しました。そして既存のプロセスをそのままシナリオ作成するのではなく、ある程度プロセスを標準化し、属人化しつつある業務フローを統一することで、対象となるタスクの範囲を広げることが可能になりました。

 記帳代行部門と支払代行部門がともに利用する「源泉徴収が発生する取引業務」を最優先の自動化対象業務として選定し業務の洗い出しをしてみると、クライアントからPDFで受領した源泉対象請求書の同じデータを、記帳部門は「経理処理のため」、支払代行部門は「支払い及び納付書作成のため」、それぞれバラバラに手入力を行いデータの処理を行っていることが明らかとなりました。さらに支払代行部門では、異なる担当者が「支払管理表作成と納付書作成のため」に、同じ情報を手入力していることが判明しました。記帳代行部門の業務を合わせると3回同じデータを手入力しているものもあったといいます。

 そこで同社では、初めに生成されたデータのうち反復して利用できるものは、業務フローを統一することにより二度と手入力させないフローを検討しました。

源泉納付書のデータ入力工程を自動化し同じデータの再入力を取りやめ、大幅な業務削減と属人化の改善

 ここでWinActorが活躍しました。これまで、記帳代行部門が請求書を受領すると仕訳処理を行い、その仕訳情報をトリガーに支払代行部門の管理表作成及び納付書作成をしていましたが、これをWinActorの任務へと変更しました。

図中赤文字①:お客様から受領した請求書に基づいて、会計仕訳を貸方勘定科目、貸方金額、借方勘定科目、貸方金額、消費税区分、取引先名、請求書番号、摘要項目を入力

図中赤文字②:支払代行の源泉納付管理業務に必要となる請求書をピックアップして、請求書を見ながら取引先名、支払金額、請求金額、源泉徴収税額をExcelの管理表へ入力
→WinActorによる自動化に変更

図中赤文字③:クライアントごとの個別のIDとPWでe-Taxシステムへログインし、源泉徴収が必要となった取引を②の管理表を見ながら集計して報酬税額及び源泉徴収税額を手入力
→WinActorによる自動化に変更

 これにより、これまで平均して15分程度発生していた表中の②と③の業務は完全に自動化されました。この業務はクライアント300社に対して毎月発生していることから1か月あたり75時間の節約、年間900時間の業務削減につながりました。

 同社ではさらに、銀行店舗の統廃合により店頭納付を行っていた源泉納付を電子納税へ変更する協力をクライアントから得たことで、これまで店頭納付で発生していた銀行訪問の回数と滞在時間も削減でき、さらなる業務時間削減が実現できたということです。
 その他、現在ではe-Taxに入力する電子納税データ生成業務や納税システムへのデータ転記業務においてもWinActorを適用したことで、クライアント数が増えても人員を増員せずに該当業務の運用を継続することが可能になったほか、WinActor導入を通じ職員に業務を標準化するマインドセットが芽生え、業務の属人化についても改善が進んでいるそうです。
 当初の課題であった「デジタル・サバイバル・プラン」の3つ目のゴール、「どのメンバーが1か月有給をとっても業務に支障がない体制づくり」達成にむけては、シナリオのエラーをメンバーが誰でも修正できるようになることがカギだと考えています。

 「今後はこのようなWinActorを利用したデジタル業務フローをどんどん設計して行きたいと考えています。弊社ではWinActorはExcelと同じく日常業務に必要不可欠なソフトウェアの位置づけになりつつあり、WinActorのさらなる展開拡大を予定しています。」(西氏)

RPAをきっかけにデザイン・デジタルを追求するチームを創設、筋肉質な企業を目指す

 同社では今後、一層のデジタルトランスフォーメーションの実現のために、IT知識のある社内SE仲間を数名迎えたのち、「貪欲にデザインの視点とデジタルの視点を追求すること」をミッションに掲げた、デジタル・デザイン・チームを創設する予定とのことです。

 この「デザインの視点とデジタルの視点」とはどのようなものなのでしょうか。
「デザインの視点」の一つ目のステップは、各業務をモジュール化すること。すなわち、どの時点でも修正かつ組み替え可能な単位に業務を分解することだそうです。
 次に、二つ目のステップはモジュール化した業務をクライアント横断的に再結合して各々のモジュールのバンドル化を図ることです。複数のクライアントサービスで属人化していた業務はなおさらクライアント横断的に統一することにより、システム的に効率的なワークフローへ改善することが可能になります。
 そして三つ目のステップでは、一度生成したデータを鮮度があるうちにタイムリーに横展開し、データを再入力する業務を取り除くことで、データを効率よく流動化させるスキームの実現に取り組むことを目標としているとのことです。

 続いて、「デジタルの視点」としては、三つの技術的レイヤーの組織的な習得を目指します。一つ目のレイヤーは、組織を「WinActorをExcelのように使いこなせる組織」に進化させることです。同社では、WinActorはプログラム知識を必須とせずにシナリオ作成が出来るツールであることから、利用できる母集団を広げることができ、組織に機動力を与えてくれると大きな期待を寄せています。
 二つ目のレイヤーはOCRノウハウ習得です。デジタルデータインプットは増えたものの、自動読み取りに限界のあるPDFによるデータ取得が依然かなりのウエイトを占めていることがこの背景にあります。しかしながら、同社が受領するPDFデータの多くは決まった書式であるため、OCRの自動読み込みの実現は可能だと考えているそうです。
 そして、三つ目のレイヤーはAIが得意とするデータ素材とアウトプットの習得です。これまで多種多様な書類を受け入れてきましたが、AIフレンドリーなインプットデータを絞り込み、反復利用する特定のデータを学習させ、OCRと連携させ、データインプットからデータ転記をシステマティックに処理するデータの流れの構築を実現させる方針だということです。

 さらに、このデジタル・デザイン・チームはチーム編成も大きなポイントとなっています。社内SEを従来のIT部門という位置づけではなく「現場の仲間」として迎え入れる体制を整え、システム知識を専門とするメンバーと、WinActorのシナリオ作りを理解した実務業務経験者の混合チームとすることで、組織におけるデジタルトランスフォーメーションの先導役になってもらうことが期待されているほか、役員直下組織形態とすることで、スピーディーな意思決定と予算確保のコミットメントを可能とする予定とのことです。
 西氏は、「当社が行っている業務である記帳代行や支払代行の仕事の中身は80%が“無くなる業務”で「間違えてはいけない事務作業」、20%が“無くならない業務”である「コンサルティング」です。但し業界の本音をいうと20%の“無くならない業務”をやるために仕方なく80%の“無くなる業務”を引き受けています。今後WinActorとOCRを活用したデジタルトランスフォーメーションを進めることによってこの業務割合が近づき、外資系企業本国の本社に対して意思決定のために整理された日本子会社の情報発信が出来る、コンサルティングのウエイトが高い筋肉質な少数精鋭の部隊へ進化して行きたいと思っています。」と力強く語りました。

株式会社JCアカウンティング 会社概要

企業名

株式会社JCアカウンティング(永峰三島コンサルティング)

所在地

東京都千代田区永田町2-11-1山王パークタワー4階

設立年月日

平成元年9月16日

主な事業内容

外資系企業に対する記帳代行、支払代行、給与計算

ウェブサイト

https://nagamine-mishima.jp/

RPA導入効果

1年間で1,800時間

体制

デジタル・デザイン・チーム 9名

アピールポイント

株式会社JCアカウンティングは新設の外資系企業子会社立ち上げを専門としている永峰三島コンサルティングの記帳代行、支払代行と給与計算の業務委託サービスを行っています。

 

(2021年3月現在)

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