生産性向上と働き方改革を実現させる「RPA」とは
ここ1年のうちに多くのメディアで採り上げられるようになった「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」。国を挙げたテーマである働き方改革に関連し、オフィスで働く人々の定型業務を肩代わりしてくれる新たなワークスタイルとして、RPAという仮想的な労働者(デジタルレイバー)に期待が集まっています。RPAが、なぜここまで注目されているのか。RPAとはどのようなもので、実際に業務へ採り入れるにはどうすればよいのか。今回から3回に分けて説明します。
定時退社で生産性は向上するのか
日銀短観で実に25年ぶりの水準を記録するなど、少子高齢化に伴う労働人口の減少から人手不足が顕在化している現在、日本中のあらゆる企業が対応を迫られている「働き方改革」。その大きな柱となるのが、業務の効率化を通じた生産性の向上です。総人口を上回るペースで生産年齢人口が減少するわが国では、先進7カ国で最低とされる労働生産性の向上、つまり同じ労働時間内で提供する商品・サービスの価値を高めたり、商品・サービスの水準を維持しながら労働時間を短縮したりする努力が、これまで以上に求められています。
もっとも実際にどの現場で、どの業務を改善すべきかについて、経営層の視点からは判断が難しいのも事実です。そのため、定時でオフィスの電源を落として強制的に退社させるといった、画一的な方策に流れやすいのが現状といえるでしょう。
定時退社を厳守し、残業時間を減らせたとしても、処理すべきタスクがその分だけただちに減るわけではありません。定時の勤務を呼びかける側、呼びかけられる側が、そろって無理なく「働き方改革」を実現していくためには、業務負担を軽減するための具体的な取り組みとして「何を」「どのようなアプローチで」始めるかが重要です。
生産性向上の第一歩は「見える化」から
そもそもいま、どのように業務を進めているのか。働き方改革は、まず自社の現状を把握することから始まります。どのタイミングで業務が集中し、誰の作業に過大な負荷が生じているのかを正確に把握し、効果的な体制強化や手順の見直しを行うためには、個々の作業の開始から完了までの手順を場合ごとに「見える化」することが求められます。こうした業務改善の手法は「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」と呼ばれ、継続的なBPRへの取り組みを「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」と呼ぶこともあります。
PC上で行う業務のBPMに関しては、作業手順の分析や再構成、進捗管理などを支援するソフトウェアが提供されており、大企業を中心に多くの導入実績もあります。ただ、BPR/BPMは長期的な観点から継続して取り組む必要があるほか、業務を見える化するにあたって現場の作業負担が余分に生じることから、従業員からの協力が得られにくいというデメリットもあります。
現在、にわかに注目を集めている「RPA」もまた、継続的な運用を通じて業務の見える化・効率化を進められるツールです。もっともRPAは、導入後数週間から数ヶ月というごく短期間で定量的な成果を出しやすく、それまでの作業負担をただちに減らすことで、より長期的な業務改革に取り組める余裕を現場にもたらします。異例ともいえるRPAの急速な浸透ぶりは、こうした“即効性”が持つメリットによるところが大きいと考えられます。
RPAとはどのようなツールか
RPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」と前述したとおり、多くのオフィスで日々発生している煩雑な定型業務の処理をそっくり代行するソフトウェアのロボットです。
RPAは既製品のアプリケーションソフトとして提供されるため、運用開始までのリードタイムがきわめて短いのが特徴です。RPAツールの仕組みは、大まかに言って「人間が行っていた作業を再現して自動実行する」というものであり、実装や操作にプログラミングの知識は必要ありません。その日のうちに使い始められるほど、ごく小さいスケールから構築可能で、導入後の様子をみながら、修正やカスタマイズを適宜行うことも可能です。こうした手軽さと柔軟性を活かし、作業のムダを減らしたいオフィスの各現場で「業務担当者がみずから創意工夫して運用できる」ことは、他の業務効率化ツールと比較したときにRPAの大きな強みとなっています。
作業を自動実行することで、ヒューマンエラーと業務負担を確実に減らすことができるのもRPAのメリットです。ロボットが得意な作業を引き受けることで従業員は、数字の転記といったミスが許されない作業で緊張を強いられることが少なくなるほか、単調で大量の繰り返し作業から解放され、よりクリエイティブな業務に時間をかけられるようになります。
RPAでかなえる「現場主導」の働き方改革
BPR/BPMに代表される大がかりな業務改善に着手したものの、効果が現れだすまでの準備段階で現場のモチベーションが続かなくなり、思ったような成果が挙げられないというケースは珍しくありません。
通常業務だけでも多忙を極めている従業員に対して、将来も見すえた業務改善に対する協力を求めるには、確実で分かりやすいメリットを示すことが重要といえます。
現場の担当者にとってRPAは「いま抱えている面倒な業務を、すぐラクにできる」という明確なメリットがあります。現在の業務フローを基本的にそのまま移行でき、事後の修正や改変も柔軟に行える扱いやすさとあいまって、RPAの活用は、現場主導による働き方改革の最短ルートとなりえます。小さくともできるところから、短期間のうちに効率化を実現していくことで社内の空気は確実に変わり、より本質的で長期にわたる業務改善への突破口を開くことでしょう。
他の業務効率化ツールと比べたときのRPAのメリットや、検討から導入までのプロセスについては、さらに稿を改めて説明します。
用語の説明
【RPA(Robotic Process Automation)】
主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組み。人間の補完として業務を遂行できることから、仮想知的労働者(Digital Labor)とも言われている(出典:Wikipedia)
【BPM(Business Process Management)】
人間、組織、アプリケーション、文書といった知識に関するオペレーション的ビジネスプロセスを設計・制定・制御・分析するための手法・技術・ツール。BPRと異なるのは、BPM では1回限りの革命的な変化ではなく、継続的なビジネスプロセスの発展を目指しているという点である(出典:Wikipedia)
【BPR(Business Process Reengineering)】
企業活動や業務の流れを分析し、最適化すること(出典:Wikipedia)
FAQ
RPA「WinActor」は、どのような業務に活用できますか。
原則として、Windows上でのすべての作業でご利用いただけます。 具体例として、受発注情報の基幹システムへの登録や、複数システム間の情報連携、ソフト開発での検証作業等での利用実績がございます。
RPA「WinActor」は、どのくらいの稼動削減の効果がありますか。
業種や対象のデータ、文書によります。お客様による実証実験では、RPA「WinActor」を利用することで、実験の対象とした業務について最大99%の削減が可能となったケースもございます。導入事例はこちら
RPA「WinActor」が実際に動作している様子を見られますか。
担当者がお伺いしてデモを実施いたします。製品のお問い合わせよりご相談ください。また、各種展示会やイベントにも出展をしております。出展イベント情報についてはニュースをご覧ください。
RPA「WinActor」はどのような特長がありますか。
WinActorのシナリオはフローチャート図として表示されます。フローチャート図は直感的な操作で編集できますので、シナリオの微修正、チューニングであれば、プログラミングの知識がなくても対応ができます。詳しくはWinActorの製品説明をご覧ください。