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開催レポート

自治体向けRPA ユーザ会ワークショップ
開催レポート


8月28日開催のNaNaTsu/WinActorユーザ会における自治体担当者様向けワークショップの重要な知見をまとめました。
参加自治体の皆様の貴重な経験と課題を共有いたします。

今回のユーザ会では、先進的な導入事例の講演に加え、参加者同士がより深く、具体的な課題やアイデアを共有し合うためのワークショップを大きな柱としました。
ワークショップでは、参加自治体の皆様が抱える「RPAの全庁展開」と「WinActorの利便性」という2つのリアルなテーマについて、活発な意見交換を行うワークショップを実施しました。

参加者の皆様は活発な議論を展開し、各チームで共有された具体的な成功の「コツ」や、運用現場の「本音」は、RPA推進における非常に有益な知見の宝庫となりました。

当日のワークショップの主な議論のポイントを、テーマごとにまとめてご報告いたします。

【テーマ1】RPA 活用じわじわ広げたコツは??

~全庁展開のリアルを語ろう ~

RPAを一部署のツールで終わらせず、全庁に広げるための戦略や課題について、率直な意見が交わされました。

横展開につながった「成功のコツ」

  1. 「動くもの」を見せる展示会形式のデモ

    単なる説明会ではなく、財務会計システムなど多くの職員が関わる業務から導入し、実際に「動くデモ」を見せることで、RPAの存在と効果への関心を引きつけ、問い合わせ獲得につなげました。

  2. 「やりたい人」を育て、異動で自然に広げる

    本気で取り組む意欲のある職員を募集し、集中的に研修を実施。このキーパーソンが異動した際に、新しい部署でも活用を提案するという「自然な広がり」が生まれていました。

  3. 委託を活用し、アイデア出しに専念
    シナリオ作成を外部に委託することで、職員は業務効率化のアイデア出しに専念でき、RPA化のハードルが下がりました。

広げる際に起こった課題

  1. 人への依存と利用のSTOP
    RPAの積極的な活用担当者が退職や異動すると、その後ロボットが使われなくなる「人依存」の課題が共通して見られました。

  2. シナリオの不安定性
    システムのUI変更やファイルパス変更により、シナリオが動かなくなるという課題に直面し、問い合わせ対応や修正に時間を要するケースがありました。

  3. 研修効果が見えにくい
    研修を受けても、現場で自らシナリオを作成するのは難しく、効果を実感しにくいという声がありました。

予算確保のリアルと定着の工夫

  1. 予算確保は「住民還元」か「共同調達」
    内部の業務効率化よりも、「住民に還元できる」予算は通りやすい傾向が見られました。

    また、共同調達によって予算を取りやすくなるという意見がありました。 

    RPAによる削減時間を定量的に測定し、「その時間を何に活用できたか」を明確にアピールすることが、予算獲得の鍵となっていました。(例:年間1,783時間の削減実績)

  2. 定着の鍵は「仕組み化」
    利用が個人のスキルや熱意に左右されやすい傾向があり、異動で利用が止まるリスクがあるため、人依存から脱却するための仕組みづくりが今後の課題として認識されました。

【テーマ2】RPA 拡大の際に直面した課題

日々のシナリオ作成・運用における具体的な「つまづき」と、それを乗り越えるための「工夫」や、今後の改善点についての議論が中心となりました。

カテゴリ「本音」と「つまづき」改善と期待
シナリオ作成ゼロからの難しさ
現場職員にとってゼロからシナリオを作るのは難しく、既存の改変やテンプレートが必要。「変数」などの専門用語が障壁となる。
バージョンアップへの期待
WinActor 7.5の「エラー箇所が分かる機能」は便利と評価。今後は生成AIによる作成支援機能に期待。
互換性の課題

Just Officeなど、Microsoft Excel以外のツールでは互換性に課題があり、一部操作がうまくいかないケースがある。
ノード部品の改善要望
デフォルトのノード(部品)が細かな設定に対応しきれず、「かゆいところに手が届かない」という不満。
運用・管理管理の不徹底
RPA利用の予約制を導入しても運用が徹底されず、誰が使っているか管理者側で把握できないケースがある。
管理ツールの要望
シナリオ管理ツールがあれば、利用状況(使われた時間)を把握しやすくなり、予算申請にも役立つという意見。
知識習得の負担
WinActorとPower Automateなどの別ツールを併用することで、双方の知識習得が必要となり負担が増している。
外部サポートの活用
外部ベンダーからの隔週・時間単位の支援が、シナリオ改修などで非常に役立っている。
コミュニティ情報交換の重要性
ユーザー会のようなコミュニティを通じて、他の自治体との情報交換の必要性を強く感じている。
継続的な研修の重要性

他システム事例から、毎月など継続的な研修の実施が定着に重要であるという意見。

今回のワークショップを通じて、自治体におけるRPA活用は、導入の初期段階から「いかに定着・展開させるか」という次のフェーズに入っていることが明らかになりました。
NTTデータでは、本ユーザ会のようなコミュニティ活動を通じて、引き続き自治体様の課題解決に繋がる情報提供と、相互交流の場を提供してまいります。

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