WinActor®事例紹介【株式会社 中電シーティーアイ】Excelで作成したマクロにより、野良ロボットの検出を実現
写真左より:
株式会社 中電シーティーアイ
プロジェクト第3ユニット CIS開発第1部 主査 加藤 隆仁氏
(現在の所属はプロジェクト第1ユニット)
プロジェクト第3ユニット CIS開発第1部長 田中 喜久氏
RPAを利用していく上での課題のひとつが、野良ロボット対策です。
株式会社 中電シーティーアイでは、Excelで作成した「ログ解析マクロ」により野良ロボットを検出する手法を考案して、ロボット管理に役立てています。その仕組みをまとめた同社CIS開発部(当時)の加藤 隆仁氏による小論文は、2019年の「日立ITユーザ会」で発表され、最優秀賞(小論文)に選ばれています。
「ログ解析マクロ」開発までの経緯や具体的な働きなどについて、考案・開発を手がけた加藤氏と、CIS開発第1部長である田中 喜久氏に伺いました。
導入業務
・お客さまサービスシステムの運用を行う中で発生していた定時外作業
ポイント
将来的に所属部員が増えていくことで懸念される野良ロボットの発生を抑止するため、「ログ解析マクロ」を作成、運用している
深夜・早朝に行っていた定型業務をWinActorで自動化
中部電力のグループ企業で唯一、情報システムを扱う株式会社 中電シーティーアイは、アプリケーション開発保守、インフラセキュリティ、解析、大量データ処理、IT運用などのサービスを展開しています。今回取材をさせていただいたのは、中部電力のお客さまサービスシステム(Customer Information System)の開発・運用に携わる、CIS開発部です。
「CISは電気の申し込みから、電気料金の計算や収納管理などのデータを総合的に扱うもので、当社のスタッフ約90名が開発・保守にあたっています」(田中氏)
CISの保守業務では、担当者が終業時刻後にその日1日分の処理件数を記録、また翌朝は始業時刻前にシステムの稼働実績を報告書として作成せねばならず、それが大きな負担となっていました。
「2018年、この夜間・早朝の定型業務をWinActorで自動化したことで、社員は毎朝、結果を確認するだけですむようになりました」と、加藤氏は自動化の効果を説明します。同年1月にロボット運用を始めて以降、このような定型業務の自動化のため、現在までに約20のロボットが開発されているとのことです。
野良ロボットの発生を抑制するための定義づけ
時間外の削減には役立っているWinActorですが、同部では誰でもロボットを作成し、自分の担当業務に適用できる体制を敷いているため、将来的に人が増えてくると様々なロボットが作成されて管理が困難になり、野良ロボットが発生するのではないかという懸念がありました。野良ロボットは管理コストの増加や既存システムへの悪影響につながる恐れがあるため、加藤氏は早期のうちに抑制対策を検討することにしました。
加藤氏が最初に行ったのは、野良ロボットの定義でした。
(1)勝手につくられたロボット
勝手につくられ、ロボットの存在が認識されていないもの(作成者のみが認識している場合を含む)。他のロボットと動作タイミングが競合する懸念があるなど、多くの問題をはらむ
(2)いつ動作しているか分からないロボット
動作状況が分からないため、廃棄していいかを判断できない
(3)いつまで動作させておけばいいか分からないロボット
ロボットをスケジュールから外していいのか判断がつかず、本来の役割を終えてもそのまま動作させざるを得ない
(4)何をしているか分からないロボット
ロボットの処理内容が複雑で理解できないもの。ブラックボックス化しているため、修正も再利用もできない
(5)何をしたいか分からないロボット
処理内容は読み取れるが、どういう目的で作られたかが分からないため、ロボットの停止・廃棄の判断がつかないもの
5つを定義した上で加藤氏は、「サーバー型のRPAなら(1)勝手に作られたロボット、(2)いつ動作しているか分からないロボットの管理は行えるものの、(3)~(5)については別の管理方法が必要」と考えるに至ったといいます。
実行ログの情報から、マクロで野良ロボットを検出
加藤氏はWinActorのロボットが書き出すログから、ロボットの名前や稼動時間、終了が正常だったか異常だったかなどの 情報を収集し、それをもとにしたロボット管理の方法を考え出します。
正規の各ロボットについて、これらの情報を登録した「管理一覧」を用意し、新たにロボットを作成した際にはそこに追加登録していくのです。こうすれば一覧に掲載されていないロボットを、野良ロボットとして判定することができます。
この判定のために加藤氏は、Excelで「ログ解析マクロ」を作成しました。ログ解析マクロに予め管理一覧の内容をコピーしておくと、図のような仕組みで野良ロボットを見つけ出すことができます。
① ロボットが書き出す実行ログを扱いやすくするため、Windows側の操作で一日分のログに分割し、ファイル共有サーバーに転送
(2) 管理用に作成したロボットでログ解析マクロを実行し、ファイルサーバの実行ログを取得。マクロは各ロボットの実行ログから、ロボットの名前、稼動時間などの情報を拾い出し、それを管理一覧の内容と照合
③ マクロが実行ログを「既知ロボット」(管理一覧に登録されているもの)と、「未把握ロボット」に分類して、解析結果をファイルサーバに書き出し
④ 管理者が解析結果を見て、「未把握ロボット」を認識。これらについてはロボットの作成者に用途などを確認することで、本当に野良なのか、登録をし忘れただけなのかを判断し、適切な対処につなげる
※番号は上部図の番号に該当
解析結果に「未把握ロボット」があった場合は作成者に用途などを確認し、必要なものであれば「既知ロボット」として改めて登録していきます。こうすることで管理一覧が陳腐化してしまうことも避けられます。
野良ロボットが検出されたことで、運用を厳格化
そもそもは将来的な野良ロボットの発生を防ぐためのマクロでしたが、いざ実行してみると、CIS開発部内には既に「未把握ロボット」が存在していることが分かりました。
それらの作成者に確認を取ったところ、「既存のロボットと殆ど同じ処理をする“亜種”を作成したものの、『登録済みのロボットと類似したものだから』という理由で、改めて管理一覧への登録をしなかった」ということが分かりました。
また作成者がロボットの名前を勝手に変え、管理一覧への修正をしなかったために「未把握」として検知されたロボットもありました。
限られたロボットしか稼働していない小さな体制の中でも、このように野良が存在していたことを重く見て、現在同部では次のような運用を厳格化しているとのことです。
2 RPA管理者は翌日、ログ解析の結果を確認し、野良ロボットが検出されたらその作成者に確認をとる
3 (ログ解析マクロでは異常終了したロボットの確認も可能なため)異常終了が頻発するようなロボットがあれば、改善をするよう指示する
今後は管理一覧の更新忘れまでカバーできるよう、ロボットのバージョン管理をできるようにしたり、ログ解析マクロで野良ロボットが検出された場合だけ、管理者にメールを送るようにしたりと改良を図ることで、野良ロボット対策の手間と負担を削減することも検討しているといいます。
WinActorの活用・社内展開が進むにつれ、脅威となりかねない野良ロボット。今回ご紹介したログ解析マクロは「つくるのはそれほど難しくはない」(加藤氏)とのことなので、貴社でも対策の参考にしてみてはいかがでしょうか。
会社概要
会社名(商号) |
株式会社中電シーティーアイ |
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本店所在地 |
愛知県名古屋市東区東桜一丁目3番10号 |
設立 |
2003年(平成15年)10月1日 |
事業概要 |
アプリケーション開発保守サービス インフラセキュリティサービス 解析サービス 大量データ処理サービス IT運用サービス |
ウェブサイト |
http://www.cti.co.jp/ |
RPA導入効果 |
事例紹介の深夜・早朝の導入効果では、 深夜と早朝の2本のシナリオで、年間約200時間の残業時間を削減 |
体制 |
CIS開発部約90人、うち RPAの開発者4人 |
WinActor販売特約店
会社名(商号) |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海 |
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本社所在地 |
愛知県名古屋市中区錦2-17-21 NTTデータ伏見ビル |
取扱商品 |
WinActor、WinDirector、WinActor関連サービス、DX-Suite |
独自ソリューション |
下記ご参照ください。 http://www.nttdata-tokai.jp/solution/ |
ウェブサイト |
http://www.nttdata-tokai.jp/solution/winactor.php |
RPAソリューションのお問い合わせ先 |
第三事業部 営業担当 TEL : 050-5556-3688 (ウェブサイト「お問合せ」からも受付可能) 平日9:00~17:30 |
(2020年3月現在)