【徹底解説】RPAツールを導入するメリット&デメリット(導入事例あり)

RPAは2017年頃から展開が進み、今ではAIやIoTと並んで誰もが一度は聞いたことがある単語となっています。
一方で「RPA=自動化/効率化」というレベルでしか、多くの人に理解されていないのが現状です。
そこで本記事では、RPAを導入することによるメリット/デメリットを中心に以下内容を紹介します。
INDEX
ぜひ本記事を読んで頂き、RPAの知識をより深めていただき効果的なRPA導入につなげていただけると幸いです。
そもそもRPAとは
RPAの正式名称は「Robotic Process Automation / ロボティック・プロセス・オートメーション」です。
日本語としては、ロボによる業務の自動化という意味となります。
RPAは、ホワイトカラーのデスクワークを、パソコンの中に入っているソフトウェア型のロボットが実行し、業務を効率化/自動化する仕組みです。
上記のRPAを実現するために用意されたソフトウェアのことをRPAツールと呼んでいます。
RPAツールを利用して、「データ抽出し、メール送信する」というような業務をロボットに処理させて生産性向上を目指します。
RPAが必要とされる背景・目的
RPAが注目されている背景には、働き方改革が発端であることが多いです。
働き方改革の一環で労働時間の削減を求められており、RPAの導入によって定型作業などの単純作業をロボットに行わせるという自動化が行われています。
またその他にも、人件費の高騰、人手不足というような労働の問題が増えており、ますます労働環境の改善が求められます。
その際に、業務の効率化を実現するのがRPAです。
なお、RPAはデジタルの働き手という意味で、デジタルレイバー、デジタルワーカーとも言われます。
AI・Botなどとの違い
RPAはAIやBotと比較されることがあります。
ロボットが処理するという大きな意味合いでは同じ分類になりますが、具体的な話となるとそれぞれで意味合いが大きく違います。
RPA、AI、Botの違いは下表のとおりです。
技術 | 正式名称 | 特徴 |
---|---|---|
RPA | Robotic Process Automation |
|
AI | Artificial Intelligence (人工知能) |
|
Bot | robotの短縮形 |
|
RPAを導入する7つのメリット
RPAを導入することで得られるメリットとして、上記目的でも紹介した業務の自動化や効率化が大きく取り上げられています。
自動化や効率化を含めてメリットとなる要素は、大きく分けて7点あります。
- ホワイトカラー業務の自動化・効率化
- 生産性向上
- 人的ミスの防止
- コスト削減
- 人材不足の解消
- コア業務へリソースを集中
- 現場レベルで設計することが可能
1つずつ紹介してきます。
1.ホワイトカラー業務の自動化・効率化
1つ目は「ホワイトカラー業務の自動化、効率化ができること」です。
RPAを導入することで、事前に設定しておいた業務をロボットが処理していってくれるため、人間が処理するよりも品質面、スピード面で効率化が図れます。
また、「決められた時間にデータをチェックして、データがあった場合処理をする」というような業務がある場合、大きな効果を発揮します。
上記業務を人間が行う場合は、時間を気にしながら他の作業をする必要がある、その作業のために時間を空けておかないといけないということが発生するため、業務が制約されてしまいます。
RPAの場合は、ロボットが時間になったら自動的に起動し、処理を実行してくれるため、自分が取り組む業務に集中することが可能です。
2.生産性向上
2つ目は「生産性向上」という点です。
RPAは誰でも出来る入力や転記作業のような、単純な作業をロボットに処理させます。
上記のような単純作業について、人間とロボットでのスピードを比較するとロボットのほうがスピードが早いです。
実際に測定した数値では、ロボットの速度は人間の約3倍でした。
また、人間が仕事をするのは1日8時間という労働時間の制約がありますが、ロボットにはその制約が無いため24時間処理をすることが出来ます。
単純比較はできませんが、24時間あたりの生産性を考えるとロボットは人間の約9倍の処理ができるため、時間あたりの生産性が格段に向上させることが可能です。
3.人的ミスの防止
3つ目は「人的ミスの防止ができること」です。
人間が手作業する上で、作業ミスを100%無くすことはできません。
コピーする範囲を間違えた、貼り付ける欄を間違えたなどはよくある話です。
ですが、RPAのロボットは決められた通り処理をしていくため、基本的に操作/入力ミスすることはありません。
また、RPAの場合はどれだけ長時間作業をしても疲れることがないため、処理時間が長くなってもミスが増えるということはありません。
決められたことを決められた通りにミス無く処理していくのは、人間よりもロボットが得意な分野と言えます。
4.コスト削減
4つ目は「コストが削減できること」です。
RPAを利用し定型業務を自動化することで、それまで人間が行っていた稼働が軽減されるため、そこで発生していた人件費を削減することができます。
また、ロボットには労働時間の規定がないため、18時以降の時間外労働や、土曜日曜などの休日手当も発生しません。
RPAのロボットは一度作ってしまえば、メンテナンスをしていくだけで使い続けることができます。
一方で人間が作業する場合は、作業をするために雇用を続ける必要があります。
初期投資だけで稼働をさせ続けることができるRPAは、単純作業における人件費というコストを削減することが可能となります。さらに、単純作業から解放されることで、より高度な業務へシフトすることができます。
5.人材不足の解消
5つ目は「人材不足の解消ができること」です。
少子高齢化に伴い、日本全体の労働人口が減っていくため、会社で確保出来る人材も減っていくことが予想されます。
仕事があったとしても、それを実行する人材がいなければ企業は存続することができません。
実際に人手不足のために辞めるもしくは、規模縮小するという企業があります。
その対策としてRPAを導入することで、定型業務に必要な人員を減らすことが可能です。
会社が確保する人材が減ったとしても、会社の運営を問題なく行うことが出来る体制を作れるのはRPAの強みです。
6.コア業務へリソースを集中
6つ目のは「コア業務へのリソースを集中させることができること」です。
コア業務は会社の中心業務、つまり売上/利益を生み出す業務を指します。
経費処理などの業務は会社として重要ですが、売上や利益につながる業務ではありません。
そういった業務をRPAで効率化し、コア業務へ集中出来る環境を作ることで、売上と利益を向上させることにつながります。
また、コア業務へ集中させることで、その業務の生産性が向上して高い成果をあげやすくなります。
高い成果が上がることは業績向上にもつながります。
7.現場レベルで設計することが可能
7つ目は「現場レベルで設計することが可能であること」です。
RPAを導入する際に利用する、RPAツールの多くはプログラミング知識がなくても使えるものが多いです。
実際にRPAツールは、現場担当者の手作業を覚えさせて、その後はボットに実行させるということが出来ます。
感覚的に導入することが出来るため、現場のメンバーでロボットの設計/導入することが可能です。
現場主体でRPAの導入が進んでいくと、会社全体に徐々に広がっていきます。
現場から徐々に広がっていくことで、会社全体へ業務改善の意識が高まっていくことが期待できます。
RPAのメリットを十分活かした活用例
RPAのメリットを活かして、企業の生産性向上や従業員の負担を減らしている活用例について紹介します。
今回はご紹介するのは、以下3企業となります。
- 株式会社カネミツ様:コア業務へ注力するために導入
- 株式会社KSK様:業務の皮質向上のために導入
- 横浜市様:コスト削減
それぞれの企業について、詳しく解説していきます。
事例1.事務作業を効率化し、やりがいのある仕事へ注力できる環境作り(株式会社カネミツ様)
カネミツ様では、定型業務を自動化してコア業務へ注力することをRPA導入の目的としていました。
Excelで管理している台帳データを定期的にPDF化し、関連部署へ送付するというような定型的な業務をRPA化しました。
導入後10ヶ月ほどで30つの業務に対して、RPA活用して自動化を図っています。
ロボットに懐疑的だった人たちも、ロボットが導入されて目に見えて効果が出てくると、次々とロボット化の要望が出てきたようです。
今後も誰でもできる定型的な業務をRPA化し、人間でしか出来ないようなやりがいのある仕事に充てられるように今後も進めていきたいと意気込んでいました。
事例2.ミスが許されないプレッシャーから開放、従業員の精神的負担を解消(株式会社KSK様)
KSK様では、通常業務の品質向上をRPA導入の目的としていました。
膨大な数の請求書や見積書を顧客や協力会社へ送付する業務があります。
ミスが許されないため、3重チェックを行うなどプレッシャーがかかっているこの業務をロボット化しました。
ロボット導入後はチェックにかけていた人件費の削減および、担当者の精神的負担を軽減するという効果を上げています。
RPAの導入効果を実感した後は、誰でも使えるような汎用的なロボットを作るなど、業務の効率化に日々取り組んでいます。
事例3.利用申請書に書かれた情報を取得し、申請内容のシステム入力や受付簿作成業務を自動化(横浜市様)
横浜市様では、コスト削減および生産性向上をRPA導入の目的としていました。
保育園/幼稚園の利用申請書などの紙媒体が入る業務をロボット化しました。
この業務はピーク時に100人がかりで処理するほどの業務です。
紙媒体の情報はAI-OCRを利用して文字として取り込みを実施して、その情報をRPAがシステムへ自動入力するという実現方法です。
紙媒体に記載されている情報をシステム入力するという効率化を行い、人件費人員および、残業時間の削減するという効果を上げています。
また、AI-OCRで読み取った紙媒体の情報が電子ファイル化されたことで、問合せ対応時に紙の原本を探す手間をなくし、スピーディーに対応するという副次効果もあったようです。
RPAを導入する4つのデメリット
RPAには多くのメリットはあるものの、必ず効果が出るというわけではありません。
RPAをうまく活用できない場面や状況も存在するため、利用をする上では検討した上で導入する必要があります。
具体的なRPAのデメリットは以下の4点が挙げられます。
- コストに合うかは使い方による
- 業務がブラックボックス化する
- 業務が変わった時の対応が必要
- システム障害による突然の停止
1つずつ解説していきます。
1.コストに合うかは使い方による
RPAを導入するためには年間で数十万円の費用が必要になり、安い買い物ではありません。
ロボット化をする業務の数が少ないと、費用をペイ出来ない可能性があります。
そのため、ある程度まとまった台数のロボットを作成/導入する必要があります。
また、導入する際には通常業務を行いながらロボットを作る必要があり、通常よりも負荷が高くなります。
負荷が高まると、ロボット導入が進まず効果が出にくくなってしまいます。
導入する前には費用対効果をよく検討する必要があります。
2.業務がブラックボックス化する
RPAを導入して自動化が進むことは良いことです。
ですが、その状態で月日が経過して業務担当者が異動や退職になった場合、その業務に詳しい人がいなくなってしまいます。
また、RPAツールを使うのは簡単と言っても、ITリテラシーのレベルによっては、理解することが難しいケースもあります。
もし、次の担当者が業務をあまり知らない、RPAの理解が弱いという状態になった場合、その業務がブラックボックス化(業務の中身が分からない状態)してしまう可能性があります。
3.業務が変わった時の対応が必要
法律などの制度変更や、業務の変更に伴い、ロボットのメンテナンスが必要になります。
ロボットは決められたルール通りのみに動作するため、業務に変更が入った場合は修正をする必要があります。
もし、ロボットの修正が行われなかった場合は、適切な処理がされずに誤動作や意図しない処理が行われてしまいます。
万が一、メールを送信するロボットが適切に動かなかった場合、情報漏えいの可能性もあります。
4.システム障害による突然の停止
RPAはITシステムの1つであるため、システム障害やネットワーク障害によって停止する可能性があります。
また、RPAを動かしているパソコンのOSのセキュリティパッチ適用や、バージョンアップによる再起動で、RPAツールが停止することも考えられます。
予期せぬトラブルが起きることがあることを前提として、その場合の対応方法を検討しておく必要があります。
RPAのデメリットを乗り切る対策
RPAにもデメリットがいくつかあるものの、それでもデメリットを上回る導入メリットがあります。
RPAのメリットを活かしつつ、デメリットをおさえるために以下の対策をしておくことをおすすめします。
- RPAの導入を小さな部門から行い、導入効果をしながら拡大を進める
- ブラックボックス化しないように業務プロセスを可視化した資料を作成する
- ロボットを日々メンテナンスし、業務の変更に素早く対応する
- RPAツールが停止した場合でも、業務を継続できる事前準備
デメリットの部分は対策を行うことでリスクを最小限にすることができます。
RPAをより活用するために、導入時には対策をしていきましょう。
RPAを導入する際におさえるべきポイント
RPAの概要やメリット・デメリットを理解頂けたかと思います。
企業に最適なRPA導入を行うために、押さえるべきポイントは以下の通りです。
- RPAを導入する目的を明確にする
- 適切なRPAツールを選ぶ
- 適切な流れで導入する
RPA導入には費用がかかるため、「自社にあっていなかった」「思っていたものと違った」と思わないためにも、ぜひポイントをおさえるようにしてください。
RPAを導入する目的を明確にする
1つ目は「RPAを導入する目的を明確にすること」です。
具体的な言い方に変えると、RPAを導入した際に会社のどういった課題を解決したいかという点を明確にすることです。
RPAは数多くのメリットが存在しますが、導入してどうしたいのかという目的を持っていない場合は達成すべき目的がブレてしまいます。
まずはRPAを導入してどういう企業にしたいのかという目的を検討してみてください。
適切なRPAツールを選ぶ
2つ目は「適切なRPAツールを選ぶこと」です。
RPAツールは数多くあり、中にはプログラミングスキルが求められるツールもあります。
また、RPAツールは日本国内の会社が作ったもの、海外の会社が作ったものがあるため、日本語への対応状況も確認したほうが良いです。
さらに、作ったロボットのメンテナンスや、ロボットを追加開発を考えると、現場の担当者で作れるような使いやすいRPAツールを選ぶ必要があります。
適切な流れで導入する
3つ目は「適切な流れで導入すること」です。
RPAの導入は、一般的にまだまだ浸透していないこと、仕事の効率化/自動化というと仕事が奪われるという印象から、否定的な意見が根深くあります。
そのため、導入する時にはスモールスタートで、1つの部門で、簡単な業務のロボットを導入することをおすすめします。
導入後に効果が出た実績や便利という声があることで、全社展開する際などに抵抗を少なくすることができます。
RPAを導入するなら無料トライアルから
RPAの導入検討しているのであれば、まずはWinActorの無料トライアルから始めてみませんか。
無料トライアルでは、RPAツールであるWinActorを1ヶ月間ご利用いただけます。
実際に導入する際と同じ機能がご利用いただけるため、操作感や自動化の効果を感じることができます。
また、無料トライアルの中に、ロボットを作るための基本的な操作をまとめた教材や、チュートリアルを用意しております。
そのため、RPAツールが使えるか不安な方でも安心してお使いいただけます。
もし、少し触ってみたいなと興味を思っているのであれば、ぜひ体験してみてください。
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