RPAの導入方法!失敗せずに導入するステップをわかりやすく解説

RPAを導入して、大きく業務効率化ができたという企業が数多く出てきています。
一方で、想定していたよりも効果が出ず、RPA導入に失敗した企業もあります。
そこで本記事では、「RPAの導入に失敗しないための7つのステップ」を紹介します。
この7つのステップを守っていただくことで、導入失敗を避けることが出来ます。
皆さんがRPAを導入する際に失敗しないように、これからご紹介するステップを自社に当てはめながら読んで頂き、より具体的にイメージしてみてください。
※本記事では「RPA導入が増える背景」から解説しますが、「具体的な導入手順」だけ知りたい方は、下記リンクから該当箇所にジャンプできます。
>>RPAを効果的に導入する方法を7ステップで解説
RPAの導入が加速する背景を仕組みの面から解説
働き方改革への対応に伴い、各企業で労働時間の削減が求められています。
上記を要因として、RPAの導入が急速に加速しています。
ここではRPAでどういったことができるのか、RPAを導入するメリットのほか、RPAとAIとの違いについて紹介していきます。
RPAの3つのClass
RPAは下表のとおり、3つの段階(クラス)に分類されています。
クラス | 名称 | 適用範囲 | 具体的な事例 |
---|---|---|---|
Class1 | RPA (Robotic Process Automation) |
決められた定型業務の自動化/効率化 | データ入力や、複数のシステムの連携 パソコン操作の自動化 |
Class2 | EPA (Enhanced Process Automation) |
非定型業務の自動化 | 画像データの解析による画像分類 ビッグデータの処理/解析 |
Class3 | CA (Cognitive Automation) |
高度な分析/判断 | 売上データや経済情勢を多面的に分析した意思決定 |
RPA→EPA→CAの順で適用範囲が高度になっていきます。
EPAやCAになると人が教えたルールに加え、データからロボット自身で学習を行い自律的に判断できるようになります。
RPAとEPA、CAはそれぞれ特徴を持っており、その特徴から利用される方法に違いがあります。
1つずつ詳細を説明していきます。
Class1.RPA(Robotic Process Automation)
RPAは決められたルールに沿って、正確に処理を行うロボットを活用して効率化をしていきます。
現在のRPA導入企業のほとんどがこのRPAの導入となっており、定型作業や単純作業を自動化しています。
RPAは事前に決められたルール通りにしかできないため、イレギュラーケースまで考えた上でロボットを作り込む必要があります。
もし、ロボット自身に判断させたいのであれば、RPAではなく次のレベルの導入が必要になります。
Class2.EPA(Enhanced Process Automation)
EPAのEは「Enhanced=強化」という意味合いを持ち、Class1のRPAのロボットにおける判断する機能を強化したレベルです
EPAで実装するロボットは与えられたデータを分析し、データの分類や傾向、結果を出すことが出来ます。
具体的な例を挙げると、「商品の画像を読み込ませて、その商品がなにかを特定・分類する」というような機能をもつロボットがいます。
また、画像分析+OCRを搭載したロボットも用意されていて、画像の中にあるテキストを読み取り、読み取ったテキストを基幹システムへ入力するというEPAのツールもあります。
Class3.CA(Cognitive Automation)
CAは日本語訳すると「経験して蓄積した知識での自動化」です。
処理するデータをロボット自ら分析/蓄積し、プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化するレベルを指しています。
Cognitive(経験して蓄積した知識)に関連する単語として、ディープラーニングや機械学習などが当てはまります。
ディープラーニングや機械学習は発展/実用化が進んでいますが、それを自動化するCAは現時点で実用化される予測は立っていません。
ただ、実現する際には人の知能を超えて、ロボット自身で自己進化してくことが期待されています。
RPAとAIの違い
RPAとAIは本当によく何が違うの?と比較されることが多いですが、内容は全く違います。
RPAは決められたことを決められた通りに行う機能です。
そのため、単純作業を自動化/効率化していくことを得意としています。
一方でAIは、過去のデータを勉強用としてAIへ取り込んでおくことで、ロボットに判断させることができます。
つまり、人がルールを作成しなくても、過去のデータの傾向からロボットが独自で判断ルールを作成して処理をすることが可能になります。
RPAを導入するメリット
RPAを導入することで様々なメリットがありますが、代表的なものとしては以下の通りです。
● 生産性の向上
● ヒューマンエラーの削減
また、ロボットを活用し業務効率化を進めることで、本来人が注力すべき業務に集中することができるため、さらなる効果も見込めます。
「【徹底解説】RPAツールを導入するメリット&デメリット【導入事例あり】」で詳しく紹介しています。
興味をもった人はぜひこちらの記事をご覧ください。
RPAを効果的に導入する方法を7ステップで解説
ここからは、実際にRPAを導入するためのステップを紹介します。
RPAを導入した効果を最大限にするためには、いくつかステップを踏んで導入していく必要があります。
ステップ①:現在の業務プロセス・業務量の見直し
ステップ②:RPAを導入する業務を決める
ステップ③:導入するRPAツールを決める
ステップ④:無料トライアルで導入してみる
ステップ⑤:一部の業務のみ導入する
ステップ⑥:改善事例を横展開し、本格導入する
ステップ⑦:効果検証して改善する
ステップ①:現在の業務プロセス・業務量の見直し
1つ目のステップは「業務プロセス・業務量の見直し」です。
現状行っている業務の中で、どこにRPAを導入すれば最も効果が発揮できるかということを検討します。
また、業務の見直しをすることで、見えているようで見えていなかった業務の全体像が見えるようになります。
業務の見える化が完了した状態で、どの部分に課題があるのかを確認してRPA導入候補を選定します。
その後、実際に担当者が行った作業の内容と時間を記録するなどを行い、業務量や時間を測定していきます。
ステップ②:RPAを導入する業務を決める
2つ目のステップは「RPAを導入する業務を決めること」です。
RPAが得意とする業務は、以下のようなルールが決められている定型業務になります。
● Excelや各システムから、基幹システムへデータを登録する
● 決められた条件で、決まった日付/時間でデータ抽出を行う
また、RPA化する業務を決める際には、以下2点を算出する必要があります。
● 業務をRPA化した場合における定量的/定性的な効果
定量的:具体的な時間(例:年間30時間削減)
定性的:数値に表れない効果(例:作業者の精神的負担が減る)
● 導入する業務の規模からロボット開発にかかる費用
RPA化に伴い発生する効果と費用を比較して、どの業務をロボット化するのかを決定します。
ステップ③:導入するRPAツールを決める
3つ目のステップは「導入するRPAツールを決めること」です。
現在、RPAツールは数多く用意されています。
各ツールにはそれぞれ特徴があるため、各企業にあったRPAツールを選定する必要があります。
NTTデータが用意している「WinActor」はプログラミングが出来ない方でも、研修を受ければ使えるような使いやすさを意識して開発されています。
また、RPAツールのほとんどが海外製品ですが、WinActorは日本発のRPAツールでありマニュアル、ヘルプなどがすべて日本語で用意されており、教育や運用も比較的容易です。
使い方がわかりにくいツールの場合、RPA導入後に管理がしきれなくて困るということにつながるため、誰でも使いやすいRPAツールを導入する必要があります。
ステップ④:無料トライアルで導入してみる
4つ目のステップは「無料トライアルで導入してみる」です。
RPAツールによっては、期間限定ではありますが、無料でRPAツールを試すことが可能です。
無料トライアル期間でもすべての機能が使えるRPAツールも多いため、無料トライアル期間でRPAツールの使い勝手や、操作方法を試してみてください。
またトライアル期間中に、簡単かつ短い定型業務をRPA化してみることで、実際にどういった効果があるのかを体験してみることが可能です。
効果を判断するには実際に作ってみるのがおすすめなので、ぜひ体験してみてください。
また、RPA導入において気になる点や不明点をまとめておき、トライアル提供元へ質問して導入時の不安を無くしておくとより良いと思います。
※弊社(NTTデータ)でもRPAツールの「無料トライアル」を実施しております。詳しくは「RPAツール”WinActor”の無料トライアルページ」をご覧ください。
ステップ⑤:一部の業務のみ導入する
5つ目のステップは「一部の業務のみ導入すること」です。
新しく自社にRPAを取り込むときは、スモールスタートではじめることをおすすめします。
理由は3つあります。
1つ目は、最初から手広く実施してエラーが発生した場合、業務へ与える影響が大きいことです。
また、ロボットを数多く作成するとコストが多くかかってしまい、ペイできるか分からない状態では進めていくことが難しいためです。
2つ目は、効果が見えない状態で全社への導入は、経営者としてはOKという判断ができません。
実際に小さいロボット(適用範囲が狭い業務)でも良いので、成果を出して実績を作ることが重要です。
3つ目は、ロボットの数が少ないタイミングで運用検討が出来るためです。
一度にロボットの数が多くなると運用ルールがまとまらず、統制が取れません。
スモールスタートのタイミングで運用マニュアルを作成することをおすすめします。
ステップ⑥:改善事例を横展開し、本格導入する
6つ目のステップは「改善事例を横展開し、本格導入すること」です。
ステップ5で実施した一部業務の自動化/効率化できたことを成功事例として、他の業務へもRPA導入を検討します。
これまで行ってきた業務プロセスの見える化を行った上で業務整理を行い、費用対効果の良い業務をロボット化していきます。
また、本格導入前に以下を決めておく必要があります。
● ロボットのアクセス権限
● エラーが発生したときのリカバリルール
特にロボットを修正する担当者は重要です。
導入した後、業務変更は当たり前のように発生するため、ロボットを適宜修正できるような体制を作っておく必要があります。
ステップ⑦:効果検証して改善する
7つ目のステップは「効果検証して改善すること」です。
一部の業務で導入したときと同様に、RPA導入によって生み出された効果を検証します。
想定通りに効果が生まれた業務については、別部門での導入や関連業務での導入などの拡大を検討していきます。
また、想定よりも効果が出なかった業務については、改めて原因を分析します。
原因はいくつかありますが、以下のような原因があります。
● RPAを導入して効率化されたが別の業務が発生した
● 想定していたよりも業務量が少なかった
いずれの場合でも、業務の見える化/整理が足りない場合が多いです。
改めて、業務の見える化と整理をしてロボットを見直してみてください。
RPAの導入事例
上記のステップでRPAを導入し、成功した導入事例の代表例は以下のとおりです。
● 製造業(JFEスチール株式会社)
● 自治体(横浜市)
● 教育(立命館大学)
● 保険業(楽天損害保険株式会社)
など
RPAは業界や業務を選ぶことなく導入することが可能です。
ご紹介する事例を参考に、「どのように自社で活用ができるのか」「RPAをどうやって使うことで自社にあった使い方ができるのか」ということを検討してみてください。
業界別・業務別の活用例は、「RPAの導入事例!業界別・業務別の具体的な活用例を紹介」
で詳しく紹介しています。
上記事例をより詳しく知りたい場合や、その他についても知りたいということであれば、WinActorの導入事例ページをぜひご覧ください。
RPAを導入する際の3つの注意点
ここまで効率的にRPA導入するための7ステップをご紹介してきました。
そのステップを進める中で、以下3点について注意しておく必要があります。
注意点①:社内の運用体制を明確にする
注意点②:導入支援のサポートをしっかり受ける
注意点③:スモールスタートで始める
導入を確実なものにするために、この3点をぜひ押さえておいてください。
注意点①:社内の運用体制を明確にする
RPAは導入して終了ではなく、導入してからがスタートです。
RPA導入による効果を生み出すために、日々の運用が重要になります。
そのため、社内の運用体制として以下の内容を明確にしておく必要があります。
● RPA化する業務に関する資料まとめ方法
● RPAの処理エラー時の対応
など
上記3点はどの企業でも共通して必要になるルールになるため、まずはここを明確にしておきましょう。
注意点②:導入支援のサポートをしっかり受ける
RPAツール販売元の導入支援サポートがあれば、必ず受けるべきです。
RPAのロボットは簡単に作れるようになっていますが、慣れるまでが大変です。
また、メールを送るなど共通するような処理を使い回す方法を知っておくと、開発の効率が上がるために、サポートからぜひ聞いておきましょう。
導入する際に困りごとや不明点があると拡大していく際に不安が残ります。
不安なく導入をしていくためにも導入支援のサポートをフル活用することをおすすめします。
注意点③:スモールスタートで始める
RPA導入は一部の部門からはじめるという「スモールスタート」がおすすめです。
一度にロボットを手広く導入すると、ロボットの管理が大変かつ、作るだけでも費用が大きくなります。
また、なにかあった場合のリスクを最小化するためにも、小さい範囲でのトライ&エラーの経験を積むことが重要です。
さらに、全社展開する際には効果が出ることが必ず求められます。
その実績を積むためにもスモールスタートで始めることをおすすめします。
※弊社(NTTデータ)ではRPAツールの「無料トライアル」を実施しております。スモールスタートから実行可能なので、興味のある方は「RPAツール”WinActor”の無料トライアルページ」をご覧ください。
以上、RPA導入を「成功させる7つのステップと3つの注意点」をご紹介しました。
RPAの導入は、進め方で効果が出るかが大きく変わります。
本記事でご紹介したステップを意識して導入を進めて頂ければ、きっと想定しているRPAの効果を生み出せるかと思います。
RPAツールを使いこなし、生産性を高めていきましょう。
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