RPA導入失敗の理由・事例と導入成功のための5つのポイント
RPA導入は必ずしも成功するわけではありません。RPA導入を成功させるためのポイントを踏まえて、きちんとしたプロセスを踏んでRPA導入を実施していかなければ、失敗してしまうこともあります。また、失敗とまでは言わずとも、RPA導入の効果を最大化できないこともあるでしょう。
そこで本記事では、RPA導入が失敗してしまう際のよくある理由や、RPA導入成功のためのポイント、RPA導入の成功事例などをまとめてご紹介します。
INDEX
RPAとは?
RPAとはRobotic Process Automation(ロボット技術による自動化)の略称です。パソコンの中でソフトウェアを用いて行う作業であれば、さまざまな業務を自動化できます。
例えば、請求書の作成から出力、メールに添付して担当者に送付する、というような一連の作業を、すべて自動化することが可能です。
大企業から官庁まで、さまざまな企業がRPAツールを使って業務効率化を図っています。
RPA導入失敗の6つの理由・事例
RPAは生産性向上や業務効率化に適しているといわれていますが、導入方法を間違えると失敗して効果を発揮できません。
失敗する原因は大きく分けて、以下の6つに分類できます。
- その①:RPAを導入する目的が不明確
- その②:RPAの運用ルールを決めていない
- その③:RPAが得意なこと・できることを把握していない
- その④:RPAの運用担当者を決めていない
- その⑤:RPA化した業務範囲がわからなくなってしまう
- その⑥:RPAの導入効果を把握できていない
原因について、1つずつ解説していきます。
その①:RPAを導入する目的が不明確
RPAを導入する際に、導入目的が明確でない場合は失敗する事が多いです。
RPAを導入するだけで生産性向上や業務効率化ができる、というイメージを持って導入する企業は少なくありません。
RPAはソフトウェアの1つであり、業務をサポートするためのツールです。
そのツールをどの頻度で、どう使うか、導入した結果どうなりたいかという目的を明確にしておかないと、失敗へつながってしまいます。
その②:RPAの運用ルールを決めていない
RPAは人間が行っている業務を、ロボットが代わりに作業してくれるツールです。
そのため、業務に変更があれば修正をしていく必要があります。
RPAを導入後の運用ルールが決まっていない、もしくはあいまいな場合やロボットを修正する際のルールが決まっていないと個別で対応することになり、管理しきれずに統制が取れません。
また、RPAはネットワークやパソコンの不調などから、予期せぬ動きをする場合があります。
そういった場合のリカバリ方法なども決めておかないと、業務へ影響を与えてしまい、工数削減どころか増えてしまう可能性も秘めており注意が必要なポイントです。
その③:RPAが得意なこと・できることを把握していない
RPAは魔法の杖ではないため、導入すればすべてが解決するわけではありません。
RPAが得意としているのは、以下のような業務分野です。
- 単純な定型業務の自動化/効率化
- 正確なデータ入力
逆に言えば、以下のような業務を含むものはRPAが不得意な部分であるため、導入するのは危険です。
- 複雑な判断が必要な業務/効率化
- パターンが多すぎる業務
このあたりを区別せずに、とりあえず導入するという進め方だと失敗するケースが少なくありません。
RPAに向いている業務の見分け方については、>>RPAに向いている業務と向いていない業務【対象業務の選び方も解説】にて解説をしています。
その④:RPAの運用担当者を決めていない
RPAはExcelやPowerPointなどとは違い、まだまだ世の中に浸透していないツールであり、多くの人はどういうものなのかをわかっていません。
そのため、導入する場合はツールの使い方や特性をある程度理解した担当者を据えた上で自社へ導入する必要があります。
特性を理解している担当者が不在の場合、RPAの導入自体が進まない、導入したとしても稼働後にトラブル多発するケースが多いです。
トラブルが多発し、RPA自体への期待度が下がっていき、最終的には活用されなくなってしまいます。
その⑤:RPA化した業務範囲がわからなくなってしまう
RPAを導入した直後は、業務そのものとRPA化した業務範囲を知っている担当者がいるため、特に問題は発生しません。
ただし、数ヶ月~数年が経過して、人事異動などで担当者が入れ替わった場合に、RPA化した業務範囲やロボットの情報がうまく引き継がれないケースがあります。
うまく引き継がれなかった場合は、以下の内容が不明確になります。
- どういった業務をRPA化しているのか
- それぞれの業務に何体ロボットがあるのか
- ロボットは業務のどの部分の処理をするのか
不明確なことが増えると、ムダな作業が発生したり、業務に抜け漏れが発生したりと、導入効果が薄まってしまいます。
その⑥:RPAの導入効果を把握できていない
RPA導入前後での業務時間を把握していない場合は、導入効果を測れません。
当たり前の話になりますが、RPAの導入前に課題となっていた業務が導入後は改善されたのかを具体的な数字で確認する必要があります。
また、RPAを導入した業務部分は効果が出て作業時間が短縮されたとしても、RPAを管理する工数や別の部分が増えていたら、全体としてマイナスになるケースもあります。
具体的な導入効果が把握できないと良かったのか悪かったのか、さらに効果を出すための改善にも着手できないという状態になりかねません。
RPA導入成功のための5つのポイント
RPA導入において、以下の5つのポイントを守ることで、成功する可能性が高くなります。
- ポイント①:RPAを導入する目的と目標を明確にする
- ポイント②:業務内容を整理してRPAで運用する部分を決める
- ポイント③:RPA運用の人材を確保し、運用ルールを明確にする
- ポイント④:運用マニュアルを作りRPAの運用方法を可視化する
- ポイント⑤:スモールスタートして徐々に全社へ広める
ポイントについて1つずつ解説していきます。
ポイント①:RPAを導入する目的と目標を明確にする
1つ目のポイントは「RPAを導入する目的と目標を明確にすること」です。
RPAを導入して、自社がどういった課題を解決したいのかという目的をまず明確にします。
会社によって課題や目的は様々ですが、目的を明確にしておくことで、どうRPAを使っていくのかという方針を具体的に決められます。
また、導入すること自体が目的化するプロジェクトも多くあるため、目的や目標を明確に決めておくことは重要です。
ポイント②:業務内容を整理してRPAで運用する部分を決める
2つ目のポイントは「業務内容を整理してRPAで運用する部分を決めること」です。
RPAを導入する前に、その業務が正しいか、ムダはないかなどの視点で業務整理を行うことで、業務が整理されかつ可視化できます。
きれいに可視化された業務フローを利用することで、RPA化できる業務の選定(効果が出やすい業務かどうかを把握する)が可能となり、導入効果の算出がしやすくなります。
ポイント③:RPA運用の人材を確保し、運用ルールを明確にする
3つ目のポイントは「RPA運用の人材を確保し、運用ルールを明確にすること」です。
RPAを適切に運用するためには、導入したRPAツールについてよく知る人材を社内で育成する必要があります。
RPAについてよく知る人材を「導入/運用」の中心に据えてメンバーを増やしていくことで、社内のRPAを運用する体制を調整できます。
また、RPAの導入効果を維持するために、運用ルールも明確にしておくことが必要です。
運用ルールがあいまいだと、RPAの運用がうまくいかずに高い導入効果を得られません。
人材の確保・育成と運用ルールの明確化は必須でやっておくべき事項です。
ポイント④:運用マニュアルを作りRPAの運用方法を可視化する
4つ目のポイントは「運用マニュアルを作りRPAの運用方法を可視化すること」です。
RPAを自部署だけではなく、他部署にまで拡大していくためには、運用マニュアルを作成し、決めたルール通りに導入/運用していく必要があります。
RPA自体は簡単に使えるため、便利で効果があることが広まると、すぐに広がっていきやすいツールです。
RPAが会社全体に広がっていくと効果が出やすくなり、業務効率化が促進されます。
ただ、ルールがない状態で広がっていくと、以下のようなロボットが乱立して管理ができない状態となります。
- 設計書や業務資料などのドキュメントがないロボット
- 誰も知らないけど動いている野良ロボット
作られたロボットを適切に管理して、効果を最大限に発揮するために運用マニュアルの作成は必須です。
ポイント⑤:スモールスタートして徐々に全社へ広める
5つ目のポイントは「スモールスタートして徐々に全社へ広めること」です。
RPA導入のセオリーは、一部門での簡単な業務から導入するスモールスタートではじめることです。
RPAツールに限りませんが、新しいツールを最初から全社で導入するなど一気に導入した場合、トラブルが発生したときの影響が大きく、業務にも支障が出てしまいます。
また、導入直後はナレッジも溜まっていないため、課題が出たときの解決スピードも速くありません。
そのため、業務への影響を最小限に抑えるためにもまずは小さくスタートして、ロボットの開発や運用の経験を積んだ上で広げていくことで、スムーズに拡大を進めることが可能です。
RPA導入の成功事例3つ
RPA導入に失敗しないためには、逆に成功した事例について知っておくことも役に立つでしょう。以下、RPA導入に成功した企業の事例についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
埼玉県深谷市の事例
埼玉県深谷市では、業務効率化や、行政サービスの向上のため、RPAツールの導入を検討されていました。複数のRPAツールを比較されましたが、その中でも日本語表記でメニューが見やすくなっていることや、プログラミング知識がない職員の方でも自由に使いこなせる点を評価され、RPAツール「WinActor」の導入を決意されました。
2ヶ月に1回、ワーキンググループで集まる会議を実施し、その中で情報や技術などを共有するミニ研修を実施し、職員の方々のITリテラシーを高めているそうです。メディアでも話題になった「書かない窓口」シナリオなど、年間約77,000件の証明書発行を自動化し、大幅な業務効率化を実現させました。
讀賣テレビ放送の事例
讀賣テレビ放送株式会社では、2018年から社内にRPAツール「WinActor」を導入され、年間単位にしておよそ2,000数百時間もの業務時間削減に成功されました。同社では、働き方改革の方策を探るべく、2018年に「働き方改革EXPO」と銘打ったイベントを開催し、そこで紹介されていたサービスの中でも特に社員の方々から関心が高かったRPAルールの導入が決まったといいます。
「WinActor」を選定する決め手となったのは、日本語メニューのサポートが手厚いことだったそうです。膨大なデータの集計作業や、勤怠管理の一部を自動化するなど、さまざまな業務に用いられています。導入の際には社員の方々に研修も実施したそうです。
弥生の事例
会計ソフトなどを提供する弥生株式会社では、コールセンターでの人手不足や、クラウドアプリケーションのサポート業務などにおける業務負荷の高まりが課題となっていました。そこでRPAツール「WinActor」の導入を決定し、業務効率化を進めていくことになったそうです。
RPAの導入を行う際には、社員同士の信頼関係をもとに慎重な調査を実施。属人的な作業になってしまっている業務を丁寧に洗い出し、その中で業務効率化できそうなところからRPAで自動化していったといいます。
結果として、1年間をかけた導入で、月間約303時間の業務時間を削減されたそうです。それによって、これまで以上に仕事時間に余裕ができたといいます。
RPA導入に成功したいならWinActor
「RPA導入で失敗したくない」という方におすすめしたいのが、NTTグループが研究開発したRPAツール「WinActor」です。上述した事例でも言及されている通り、「WinActor」は日本語メニューでわかりやすくなっています。これは、「WinActor」が純国産ツールであることが大きいです。また、プログラミングができなくとも導入可能な点も、多くのお客様から評価いただいています。
※なお弊社(NTTデータ)が提供するWinActorでは「1カ月の無料トライアル」を用意しており、気軽に試すことができます。フル機能を無料で体験可能なので、興味のある方は「>>RPAツール”WinActor”の無料トライアルページ」をご覧ください。
失敗の理由から学びRPA導入を成功させましょう
以上、RPA失敗の理由や、成功のためのポイント、RPA導入の成功事例などについてまとめてご紹介しました。
RPA導入に失敗してしまう際には、目的設定が不明瞭だったり、運用ルールを決めていなかったりなど、さまざまな理由が考えられます。しかし、本記事でご紹介したポイントを押さえていれば、失敗せずにRPAツールを導入し、業務効率化を大いに推進できることでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
また、RPAツールなら「WinActor」がおすすめです。「WinActor」は日本語サポートが手厚くなっており、導入時のサポートもNTTデータグループが行います。無料でお試しもできるので、ぜひ導入を検討してみてください。
FAQ
RPA「WinActor」は、どのような業務に活用できますか。
原則として、Windows上でのすべての作業でご利用いただけます。 具体例として、受発注情報の基幹システムへの登録や、複数システム間の情報連携、ソフト開発での検証作業等での利用実績がございます。
RPA「WinActor」は、どのくらいの稼動削減の効果がありますか。
業種や対象のデータ、文書によります。お客様による実証実験では、RPA「WinActor」を利用することで、実験の対象とした業務について最大99%の削減が可能となったケースもございます。導入事例はこちら
RPA「WinActor」が実際に動作している様子を見られますか。
担当者がお伺いしてデモを実施いたします。製品のお問い合わせよりご相談ください。また、各種展示会やイベントにも出展をしております。出展イベント情報についてはニュースをご覧ください。
RPA「WinActor」はどのような特長がありますか。
WinActorのシナリオはフローチャート図として表示されます。フローチャート図は直感的な操作で編集できますので、シナリオの微修正、チューニングであれば、プログラミングの知識がなくても対応ができます。詳しくはWinActorの製品説明をご覧ください。