自治体DX推進計画とはわかりやすくご紹介
昨今、地方自治体においてもDXを実現させる自治体が増えてきました。しかし、まだまだ全自治体でDXが実施されたわけではなく、多くの自治体にDXの余地が残っています。
自治体がDXを実施する際にネックとなるのは、「やり方がわからない」ということです。そこで総務省が策定した自治体DX推進計画が役に立ちます。本記事では、自治体DX推進計画とはどんなものか、その重要なポイントをご紹介します。
INDEX
そもそもDXとは?
DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称です。DXは、企業や組織が、従来のビジネスプロセスをデジタル技術を活用することで変革し、顧客やユーザーに対して優れた体験を提供することを目指す取り組みを指します。
DXは、デジタル技術の進化によって大きな注目を浴びています。モバイルデバイス、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ビッグデータなどの技術の発展により、顧客やユーザーはより豊かなデジタル体験を求めるようになりました。企業や組織は、顧客の期待に応えるべく、DXを通じて顧客とのエンゲージメントを高め、競争力を向上させることが求められています。
DXの取り組みには、ユーザビリティの向上、パーソナライゼーション、オムニチャネル戦略、データ分析、アジャイルな開発プロセスなどの方法があります。
自治体DX推進計画とは何?わかりやすくご紹介
自治体DX推進計画とは、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(※1)等に掲げられた各種の施策について、自治体が重点的に取り組むべき事項や内容が記載されたものです。
総務省が2022年5月から5回にわたって開催した「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」において話し合われ、2022年9月に、第2.0版の自治体DX推進計画(※2)が公表されました。
自治体におけるDXの意義や、DX推進体制の構築における方針、自治体DXにおいて取り組むべき事項、自治体DXの取り組みと合わせて取り組むべき事項などについて、それぞれ詳細に定義されています。
以下では、自治体DX推進計画の重要なポイントについてご紹介します。
※1 デジタル庁による「デジタル社会の実現に向けた重点計画」
※2 総務省による「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画書 第2.0版」
自治体におけるDX推進体制の構築
以下では、自治体DX推進計画の中の項目「自治体におけるDX推進体制の構築」について、詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
組織体制の整備
限られた予算や時間の中、組織の壁を越えて、自治体の情報システムの標準化・共通化等の DX を推進するためには、効果的な推進体制の構築は不可欠です。そこで「組織体制の整備」では、自治体がDXを推進するにあたって首長、CTO、CTO補佐官、情報政策担当部門、行政改革・法令・人事・財政担当部門、業務担当部門(特に窓口担当部門)に求められる役割が紹介されています。
また、最高情報セキュリティ責任者(CISO:Chief Information Security Officer)の設置といった、情報セキュリティ対策に取り組む体制の確実な整備の重要性にも触れられています。
デジタル人材の確保・育成
「デジタル人材の確保・育成」では、自治体におけるデジタル人材の確保の必要性や、国が支援できることなどについて紹介されています。
自治体のDX推進にあたっては、ICT の知見を持った上で、自治体現場の実務に即して技術の導入の判断や助言を行うことのできるデジタル人材を確保することが必要です。外部からデジタル人材を任用する自治体に向けて、その場合の給与水準や雇用形態などについても説明されています。
計画的な取組
「計画的な取組」では、情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化等による手続の簡素化、迅速化、行政の効率化等の成果を得るために、DX 推進のビジョン及び工程表から構成される全体的な方針が決定される必要があるとされています。また、その全体方針は「広く自治体内で共有されるべきである」とも明記されているのです。
自治体DX支援のために策定・公表された「自治体DX推進手順書」(※3)は、想定される一連の手順が掲載されています。参考にしてみましょう。
※3 総務省による「自治体 DX 全体手順書 【第 2.1 版】」
都道府県による地区町村支援
「都道府県による地区町村支援」では、情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化などの自治体における DXの取組を効果的に実行していくために、国が主導的な役割を果しつつ、市区町村を含め、自治体全体として、足並みを揃えて取り組んでいく必要があることが述べられています。
また、都道府県が市区町村に対し、計画に記載された自治体 DX 推進の具体的な内容を十分に伝えるとともに、必要な助言を行うことで、市区町村の計画的な取組を支援するなど、都道府県が一定の役割を果たすことが期待されている、としています。
自治体DXの重点取組事項
以下では、自治体DXの重点取組事項において定義されていることについて、それぞれ詳しくご説明します。ぜひ参考にしてみてください。
自治体の情報システムの標準化・共通化
「自治体の情報システムの標準化・共通化」に取り組むことで、人的・財政的な負担の軽減を図ることができます。その結果、負担が軽減されることで自治体の職員が住民への直接的なサービス提供や地域の実情を踏まえた企画立案業務などに注力できるようになることを目指しています。
この項では、さらに地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化に向けたスケシジュールも紹介されています。基幹業務システムを利用する原則全ての地方公共団体が、2025 年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへ移行できるよう環境を整備するといった、DXを進めるにあたっての目標・指標も掲げているので、参考にしてみましょう。
マイナンバーカードの普及促進
「マイナンバーカードの普及促進」では、その名の通り、マイナンバーカードの普及促進について、これまで政府が決めてきた方向性などについて紹介されています。
取組方針として、2022 年度末までに、マイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指していることや、出張申請受付などの積極的な実施により申請を促進すること、臨時交付窓口の開設、土日開庁のさらなる実施などにより交付体制を充実させることなどがあります。
自治体の行政手続のオンライン化
「自治体の行政手続のオンライン化」では、具体的なオンライン化の取組方針として、以下の2つが説明されています。
1点目は、2022年度には、全市区町村においてマイナポータルを通じたオンラインによる転出届・転入予約を実現できるよう、マイナポータルを改修するとともに、市区町村のシステム改修等に対する支援を行うことです。
2点目は、デジタル化による利便性の向上を国民が早期に享受できるよう、特に国民の利便性向上に資する手続について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にすることです。時期は2022年度末を目標に、原則、全自治体での実施を目指しています。
自治体のAI・RPAの利用推進
「自治体のAI・RPAの利用推進」の項目によると、2021年12月末時点の調査において、AIについては、672団体が導入済みであり、導入割合は都道府県、指定都市が100%、その他の市区町村が35%となっています。
また自治体は国の作成する AI・RPA 導入ガイドブックを参考に、AI やRPAの導入・活用を推進。さらに、最先端の技術の導入については、データの集積による機能の向上や導入費用の負担軽減の観点から、複数団体による共同利用を検討するとも明記されています。
テレワークの推進
テレワークは、ICT を活用して時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、職員一人ひとりのライフステージに合った多様な働き方を実現できる「働き方改革」の切り札になるとの考えを示しています。
また自治体は、国が提供する「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」や「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」などを参考に、在宅勤務だけでなく、サテライトオフィス勤務やモバイルワークも含め、テレワーク導入・活用に積極的に取り組むべき、ともされているのです。
セキュリティ対策の徹底
「セキュリティ対策の徹底」では、セキュリティ対策の取組方針として、総務省とデジタル庁が示す地方公共団体のガバメントクラウド活用に関するセキュリティ対策の方針を踏まえ、ガバメントクラウドの活用に向けて、情報セキュリティ対策の徹底に取り組むべきと述べられます。
また、自治体がセキュリティ対策を実施する上で受けられる国の支援の種類や、それぞれの内容についても紹介されています。
DXして業務効率化を図りましょう
以上、自治体DX推進計画の重要ポイントについて、それぞれご紹介しました。
自治体においても、企業と同様に、DXが求められています。DXを実現させることで、住民サービスの質の向上や業務効率の向上につながります。しかし地方自治体の中には、DX経験が不足しているところもあるでしょう。そこで役立つのが、自治体DX推進計画です。
自治体DX推進計画では、DX推進体制の構築方法や、構築のために得られる国からの支援の種類などについてまず述べられています。また、重点的に実施するべきDXの具体的な種類についても説明されています。
ぜひ自治体DX推進計画を参考に、DXを実施してみてください。
FAQ
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原則として、Windows上でのすべての作業でご利用いただけます。 具体例として、受発注情報の基幹システムへの登録や、複数システム間の情報連携、ソフト開発での検証作業等での利用実績がございます。
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RPA「WinActor」はどのような特長がありますか。
WinActorのシナリオはフローチャート図として表示されます。フローチャート図は直感的な操作で編集できますので、シナリオの微修正、チューニングであれば、プログラミングの知識がなくても対応ができます。詳しくはWinActorの製品説明をご覧ください。