TOP導入事例WinActor®導入事例【東急カード株式会社】 IT環境強化と社員の意識向上、双方からのアプローチで働き方改革を目指す

WinActor®導入事例【東急カード株式会社】 IT環境強化と社員の意識向上、双方からのアプローチで働き方改革を目指す

写真左より:東急カード株式会社 プロセッシング企画部 副部長 上村 聡氏 / プロセッシング企画部 情報システム課 係長 山田 優樹氏  /  株式会社NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 デジタルソリューション統括部 RPAソリューション担当 部長 中川拓也

 

「交通」「不動産」「生活サービス」「ホテル・リゾート」の4つの事業領域で、人々の暮らしを支えるさまざまな事業を展開している東急グループ。その中にあって、クレジットカードに関する業務や広告・保険の代理、集金代行などを手がけているのが、東急カード株式会社です。同社は2018年のWinActor導入を皮切りにRPA、OCRによる業務の自動化を進め、これまでに累計約7,800時間もの効率化を成功させてきました。また新型コロナの影響で出社制限がかかる中でも、自動化により遅延なく業務を進められているといいます。

同社のRPA活用において大きな特徴と言えるのは、環境整備と合わせて、それを利用するスタッフの意識やITリテラシー向上にも重点を置いていることです。その取り組みについて、プロセッシング企画部 副部長 上村 聡氏と、同部 情報システム課 係長 山田 優樹氏に話を伺いました。

■導入業務
・手書き書類のデジタル化
・データの加工・集計、照合、システムへの転記など
■ポイント
・OCRとRPAの連携による業務効率化を実現
・WinActorを利用したIT教育で、社員のITリテラシー向上を推進
・業務のブラックボックス化を防ぐため、RPAを稼動しない日を設定

RPA化の工程を通して、情シスと現場の連携を強化

「当社には紙の書類を使った業務プロセスが非常に多く、それをシステムに転記する作業も膨大でした。2017年、そういう作業を自動化できるRPAの存在を知って、すぐ導入に向けて動き始めました」と、山田氏はRPA導入のきっかけを語ります。
翌年8月までにはWinActorに加え、紙の書類をデジタルデータ化するOCRの導入も完了させました。両者の連携により、データの加工・集計、照合、システムへの転記作業、複数のシステムにまたがった処理などの自動化が進められ、冒頭に紹介した7,800時間の効率化へとつながっていきます。

また同時期、効率化を目指した組織改編も行われました。情報システム部門と、カード発行や会員情報メンテナンス、売上請求などを行っている業務部門が統合したのです。「情シスだけ、現場だけで動くよりも、双方がタッグを組んで仕事を進めていく方がいい」という経営層の判断でした。RPA化を進めるにあたって必要な業務の見直しやシナリオづくりは、システム担当と業務担当者がタッグを組んで行うのにぴったりで、経営層の考えを具体化するひとつのモデルケースになったと、上村氏は言います。
「統合すると聞いた当初は少々戸惑いましたが、今では一緒に業務改善を進めていくことの方が自然に思えるほどです」(上村氏)

東急カード様2

身近な業務の自動化で、IT活用意識を向上させたDigital Boot Camp

 WinActorを利用する中で山田氏は、これを使えば社員のITリテラシーを向上させることができるのではないかと考えるようになります。
「RPAに限らず、ITの発展は目覚ましいものがあります。しかしそれらをどう使えば業務を効率化できるか、利益を出せるようになるか…などの観点から考えられる人材は少なく、教育が必要だと常々考えていました。教育にあたっては、いきなりブロックチェーンやAIなどについて話をするより、RPAを教材にするのが良いと思いました。RPAなら自分が行っている業務を自動化できる、つまり身近なところでITの効果を体感できるわけです。そうした経験を通してITへの関心や理解が深まるようになれば、仕事のやり方や発想の転換、ひいては働き方改革にもつながるのではないかと考えたのです」(山田氏)

 この考えに基づき、山田氏が属する情報システム課と経営統括部 人材戦略課との連携のもとに誕生したのが、Digital Boot Camp(以下、ブートキャンプ)です。2019年10月にスタートした第一回目のブートキャンプでは、人材戦略課が社内5部署から2名ずつ、計10名を選出し、合計4ヶ月の研修が行われました。
 最初の2日間は、WinActorの特約店でもある研修事業者・インソースによる集合研修で、WinActorの基本的な操作方法や、効率化すべき業務を見極める考え方(業務アセスメント)などを学びます。その後は社に戻り、情報システム課のバックアップの下、実務の中からWinActorで自動化できそうな業務を選定してシナリオづくりに着手、3ヶ月かけて完成させます。そして最後は、社長をはじめとする役員を前にして成果発表を行うというのが、ブートキャンプの一連の流れです。

Digital Boot Campの概要

資料提供:東急カード株式会社

 初回のブートキャンプを振り返って、山田氏はこう語ります。
「実践の段階に入って最初の1ヶ月は、どこから自動化に手を着けたらいいのか分からず、モチベーションが下がってしまう人が多かったようです。ただ自身で考えてもらうことが目的の研修なので、我々としては直接的に指示を出すことはせず、社内の他の事例を紹介したり、一緒に効率化についての考え方をおさらいしたりして、やる気を維持してもらうようにしました。これが大変でしたね。我々には技術的なサポートはできても、メンターとしてのノウハウまではありませんでしたから(笑)」

 こうした苦労の末、2月に行われた発表会では、年換算300時間の効率化が見込めるようなシナリオも発表され、役員からもブートキャンプの継続に期待する声が寄せられたといいます。
「修了者の中には、その後も継続して業務の自動化に取り組んでいる者もいますし、働き方改革の推進について積極的になった者もいます。例えばそれまでは『収益向上のために、営業電話の本数を増やします』と言っていたような人物が、今期の取り組み目標の中にAIやRPAの導入を盛り込んでくるようになったんです。以前なら考えられなかったことですね。ITというものが頭の中に根付いて、考え方が変わった良い例だと思います」(上村氏)
「新型コロナの影響で、2回目のブートキャンプは、まだ実施目処が立っていないのですが、修了者の様子を見て、次回は参加したいとか、自分の部署の誰々を参加させたいという声も届いています。2回目では、初回の修了者に教師役を務めてもらうことも考えています。自分が学んだことを、自分の言葉で他者に伝えることが、本人の理解をさらに深めるのにも役立ちますから」(山田氏)

“RPAを使えない日”で、自動化のメリットやリスクを浸透させる

 現場に投入したRPAをあえて止め、業務の進め方やIT利用について考え直してもらう機会を設けているのも、同社の面白い取り組みです。
「自動化に頼っていると、人は作業の仕方を忘れてしまいます。ブラックボックス化のリスクがあるのです」と、山田氏は言います。これに備えて情報システム課では、しっかりとした業務マニュアル整備に加え、“RPAを使えない日”を設けるようにしています。
「『明日はメンテナンスのためにRPAが使えなくなります』と告知して、実際に稼動を止めるんです。もちろん上長には事前に伝えますが、現場には相談せずに行います。最初に実施したのはWinActor導入後3~4ヶ月目、ちょうど自動化で仕事が楽になり始めた頃でした」

 当然、現場からは不満の声があがりましたが、自動化していた作業を手作業に戻すことで、その内容や処理手順を思い出したり、自動化のメリット、それが使えなくなったときのリスクを実感してもらったりすることにつながっているといいます。
「また『明日RPAが止まるなら、この処理は明後日まで待てばいいや』という業務が出てくることもあります。そして『あれ、今まで日次で処理していたけれど、一日くらい待っても問題なかったんだ』ということに気づく。つまり本当に必要な作業なのか、本当にそれをRPA化する必要があったのか、自分たちで業務を見直すきっかけにもなるわけです」(山田氏)

BPMプラットフォームによる、エンドツーエンドの業務管理を目指す

 業務効率化に加え、IT活用に対する意識強化や、社員の自発的な業務見直しなど、WinActor導入をきっかけにいくつもの側面で成果を生み出している東急カード。同社ではその経験を活かし、グループ他社の効率化にも貢献すべく、RPA導入・運用やシナリオ作成の支援も展開しています。

 さらに、グループ内でのIT活用の先鋒となるべく、情報システム課ではBPM(業務プロセス管理)プラットフォーム「Pega Infinity」を導入し、エンドツーエンドで全社業務を管理することも検討しているといいます。
「今まではいわゆる属人化に代表されるように、人に業務がくっついていました。しかし今回の新型コロナでの影響で、業務プラットフォームの上に、人やRPA、AIなどを“載せる”かたちに変えていった方がいいということが分かってきました。これが実現すれば属人化は解消され、誰でも同じように業務を進められるようになります」(山田氏)

BPMプラットフォームを活用した将来構想

資料提供:東急カード株式会社

 労働力不足が深刻化し、また「新しい生活様式」「働き方の新しいスタイル」が求められる今、システム環境の強化とITリテラシーの底上げによって働き方改革を推進する東急カードは、今後の動向を注目すべき企業と言えそうです。

会社概要

会社名(商号)

東急カード株式会社(TOKYU CARD, INC.)

本店所在地

東京都世田谷区用賀4-10-1 世田谷ビジネススクエアタワー

設立

1983年11月30日

事業概要

クレジットカードの取扱いに関する業務
金銭貸付、通信販売等に関する業務
広告、損害保険、生命保険等の斡旋並びに代理店業務
計算代行並びに集金代行業務
その他

ウェブサイト

https://www.topcard.co.jp/

 

2020年8月現在)

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