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WinActorラウンジ2019レポート : パネルディスカッション 「WinActor全社展開推進」

WinActorラウンジ2019レポート トップページへ2019913日に開催された「WinActor ラウンジ2019」では、WinActorの運用実績を持つ4社のご担当者をお招きし、各社での活用方法や社内展開の取り組みなどを語っていただくパネルディスカッションを実施しました。RPA実践企業ならではの具体性に富んだ内容は、きっと皆様の参考になるはずです。

パネルディスカッション1

<パネリスト>

アフラック生命保険株式会社
ユーザーサービス部 ユーザーサービス開発課 課長 高木 和彦氏

AGC株式会社
経営企画本部スマートAGC推進部マネージャー 土屋 創氏
※2020年1月8日、日刊ケミカルニュースで紹介されました!
「AGC RPA本格展開、年間1万時間以上の業務時間を削減 – 」

みずほ情報総研株式会社
ソリューションビジネス部 マネージャー 潮見 茂氏

三菱商事株式会社
新技術調査担当 統括マネージャ 野津田 宗聡氏

<モデレーター>

NTTデータ株式会社
RPAソリューション担当 課長 中川 拓也

WinActorの導入背景は44

中川 : まずは皆様がRPAを導入した背景と、現在の状況をお教えください。

アフラック生命保険 高木氏 : 弊社がRPAを導入した背景には「全社業務の効率化」があります。「2年間で28,000時間の削減」を目標として掲げ、それに向けた活動を実行している最中です。その一環として2017年にRPA活用の企画を起ち上げ、昨年から今年にかけて実行に移しています。

高木様

(アフラック生命保険 高木氏)

AGC 土屋氏 : 弊社は2017年に「スマートAGC推進部」を設立しました。デジタル技術によって新たな価値を創造することを目的とした組織で、IoTを用いたスマートファクトリー化や全社共通CRMの導入などに力を入れています。RPAは、従業員の生産性や創造性を向上させる「Smart Work」の推進手段として採り入れています。

みずほ情報総研 潮見氏 : みずほフィナンシャルグループの経営計画のひとつとして、業務オペレーションを磨き上げて競争優位につなげる「オペレーショナル・エクセレンス」の確立があり、私たちみずほ情報総研は、グループ各社のRPA導入をサポートする役割を担っています。

三菱商事 野津田氏 : 私が所属しているITサービス部 新技術活用推進室は、新技術の調査とインプリメンテーション(実現・実装)を推進して、グループ全体の効率化や生産性の向上を図るのがミッションです。RPA3年くらい前に取り組みを開始しました。昨年にはNTTデータさんと、グループ会社も含む包括契約を締結しました。

テーマ1RPA活用のために構築した体制や仕組みについて

中川 : では早速本題に入りましょう。最初のテーマは「RPA活用のために構築した体制や仕組みについて」です。

みずほ情報総研 潮見氏 : 私たちは、ふたつのアプローチ方法を取っています。「アプローチ1」は事務センターなど、大量処理を必要とするバックオフィス業務を対象にしたもので、みずほ情報総研のSEがRPAの開発・保守を担当します。従来のシステム開発に近いアプローチです。

「アプローチ2」は少量多品種の“身の回り業務”を対象としています。内製でロボット開発を行うことを目的としており、80以上の部署、それぞれ数名ずつをRPA開発者としてアサインしています。特にこちらのアプローチで、WinActorが大活躍しています。

潮見様 (みずほ情報総研 潮見氏)

中川 : 開発者は、どのような基準でアサインされているのでしょうか?

みずほ情報総研 潮見氏 : 各部署に依頼して、新しい技術やRPAに興味を持っている人材を選出してもらっています。そしてできるだけわかりやすく、システム開発に関する知識がなくても理解できるような技術研修を行うようにしています。

それとあわせて現場の管理者向けの研修を実施したり、社内プロモーションに取り組んだり、現場全体でRPAの特長を認識してもえるように働きかけています。

現場が積極的に協力してくれること、それがRPA開発の活発化につながります。

三菱商事 野津田氏 : グループ全体でRPAの利用を推進するには、まず認知してもらう必要があります。そのために当部署では製品の紹介や、私たちがこれまで取り組んできた事例の紹介を共有できるポータルサイトを立ち上げています。それに加えて、グループ各社を訪問するという地道な作業にも取り組んでいます。

ある程度、認知度が高まって、理解を深めていくフェーズに入ったら、NTTデータさんの協力を得ながら勉強会を開いたり、すでにRPAを導入しているグループ企業を集めてユーザー会を開催したりしています。

このような取り組みをすることで、市場に出回っているものより一歩進んだ情報や、公にしづらい悩みを共有できるようになります。

RPAの導入を実現したグループ企業には、セミナーやトレーニングなどのサポートプログラムを提供し、さらに開発フェーズまで進んだところには、エンジニアの派遣を行う…という体制をつくっています。

みずほ情報総研 潮見氏 : 今のお話にあったユーザー会というのは、横のつながりをつくるのにすごく良い取り組みだと思いますが、そういう場所で盛り上がるテーマには、どんなものがありますか?

三菱商事 野津田氏 : 7月1日に開催した初めてのユーザー会には、かなりの人数が集まったのですが、なにぶん初めてだったので内容にはかなり悩みました。中川さん(NTTデータ)にご登壇いただいたり、導入事例や、サポートプログラムの紹介をしたり…といったことを行いました。

10月の終わりに第2回目を企画していまして、そこではRPAAIOCRを組み合わせた事例を紹介したいと思っています。また、初回終了後にとったアンケートで「良い話だけではなく、失敗した話や困った話も聞きたい」という要望が数多く寄せられていまして、現在グループ企業からの情報収集を進めています。

野津田氏

(三菱商事 野津田氏)

テーマ2RPA対象業務の選定における課題や工夫

中川 : 続いてのテーマは「業務選定の課題や工夫」です。選定に失敗してしまうと効果が出ないということもあるかと思います。皆様はどのような工夫をされているのでしょう。

アフラック生命保険 高木氏 : 弊社では2017年にプロジェクトを起ち上げた際、コンサルの方々が(経営陣に対して)「RPAは魔法のツールで、これを入れればかなりの人員削減ができる」という“すばらしい”説明をされた結果、自動化希望の対象業務が大量に出てきました。

そこでまず、私が所属するIT部門でRPAを集中的に開発して、「どの業務が自動化に適しているのか」「RPAと業務とどのように組み合わせれば効果的か」といったノウハウをつかむことになりました。

ここで分かったのは、RPAに何ができるのか・何ができないのか、特に何ができないのかを、使う側に理解しておいてもらうことが重要だということです。

理解を深めてもらいながら自動化を進めるために、今は業務一つひとつのヒアリングをして、できることと・できないことを洗い出し、シナリオをつくっていくという方法を採っています。

AGC 土屋氏 : 私はRPAを推進する立場にありながら、実は2年ほど前までは、その効果について半信半疑でした。弊社はカンパニー制をとっており、同じ業務をしている人が少ないので、RPAには向いていないのではないかと考えていたんです。

しかしRPAを導入しているお客様や、弊社内で「勝手に始めちゃった」的にRPAを先行利用していた財務・経理部門から「RPAは便利だ」という話を聞きまして、本格的に導入を考えるようになりました。

調べてみると、基幹システムの手前の業務には、Excelなどを駆使した手作業がたくさんあることが分かってきました。また経理や購買といった共通システムのインプット作業や、メールの配信作業、Webサイトから最新情報を随時取得してくる作業など、弊社内にもRPA化できる業務がいろいろあること見えてきました。

中川 : 「勝手に始めちゃった」とおっしゃっていた財務・経理部門にWinActorを提案させていただいていたのは、実は私でして(笑)…ご提案したときに「これから必ずRPAが主流になる。自分たちが先遣隊になって使うから、一緒にやろう」とおっしゃっていただいたのが印相的でした。

そして導入後、効果が出始めた辺りで、財務・経理の方から、全社推進を手がけることになった土屋さんと引き合わせていただきました。こちらのケースは、現場(ボトムアップ)と推進組織(トップダウン)が一緒になって展開を進める理想のかたちだと、私は思っています。

テーマ3:現場の巻き込みにおける課題や工夫

中川 : 現場を巻き込んでいくにあたっての工夫や難しさなどについて、お聞かせください。

AGC 土屋氏 : 特に関係会社や工場の巻き込みが大変だと思っていました。三菱商事さんもそうだと思いますが、拠点は全国にありますし、工場や研究所などは業務の形態もそれぞれ異なります。事例の横展開とか導入支援とかいったことは物理的に難しいので、なるべく初期段階に、きめ細やかな対応をするよう心がけています。

展示会形式で各拠点を回るという取り組みも行なっています。RPAに限らず、スマートファクトリーやデータサイエンスなど、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた事例のパネルやデモを用意して、展示するというものです。これをきっかけに、各事業所でDXについての会話が生まれるようになれば、意識も変わってくると思っています。

展示会では、AGCの中でRPAを利用している様子を動画で公開しています。自分の会社の中で活用されている様子には現実味があって、利用のイメージがつきやすくなるようです。

ここ23ヶ月、各拠点を回ってきて、具体的な話に進むケースも増えてきました。

この展示会は、タイやインドネシアなどの現地法人でも行なっております。

(AGC 土屋氏)

アフラック生命保険 高木氏 : 弊社の場合、「現場は使ってもらうだけ」という考え方にしています。まずは業務部門にRPAで出来ることを理解してもらい、その後は密に連携しながら、要件定義、シナリオ作成…という流れを1年半かけて回しています。現段階では、管理体制もきちんと構築できており、順調にきています。

みずほ情報総研 潮見氏 : 私たちもIT部門としてシナリオを作って現場に渡すという方法をとっていますが、その際、使い方や注意事項を伝えるのが難しいと感じています。そのあたり、どうされていますか?

アフラック生命保険 高木氏 : 使う側からすると「つくったのは君たちだよね」という意識があるので、うまく動かない場合も「つくった君たちの問題じゃないの?」となりがちではあります。これを解消するには、会話をするしかないです。できること、できないことを、きっちりと理解してもらうまで説明をすることが大切です。「会社をよくするため」という同じ目線に立って使ってもらうことが重要です。

三菱商事 野津田氏 : 土屋さん(AGC)が海外展開について話されていましたが、特にアジアでは、RPAよりもまだ人件費の方が安いというケースもあると思いますが、海外展開のアプローチについてイメージはありますか?

AGC 土屋氏 : そこは、かなり悩ましいとろではあります。現地でRPAを見てもらうと「いいね」とは言ってくれますが、費用で躊躇してしまうことも多いですね。ただ作業の正確性という点では、ミスのないRPAを導入するメリットは十分にあると考えています。

中川 : 弊社のベトナム拠点のメンバーによれば、やはりミスが減るということ、またロボットはズルをせず、きちんとやってくれるということを、現地のお客様が大事にしてくださっているとのことです。

テーマ4RPAを使ってもらうためのサポート体制

中川 : 現場でRPAを使ってもらうために、皆様はどんな体制を用意されていますか?

みずほ情報総研 潮見氏 : 使ってもらうための試みとしてはいくつかありますが、「これは良かった」と思っているものとして、常設ヘルプデスクの設置があります。

やはりいくら研修を受けても、いざ自分の業務で使おうとした時にはわからないことがあります。わからないままにするとそこで止まってしまいますが、いつでも質問ができる場所を設けたことで、効率的なロボット構築やスムーズなスキルの蓄積ができるようになったと考えています。常設ではなくても、週に何度かだけというかたちでも、お奨めしたい方法です。

先ほどの野津田さん(三菱商事)のお話にもありましたが、私たちもポータルサイトを設けていまして、FAQや共通部品など、開発者の参考になる情報をワンストップで得られるような仕組みをつくりました。

中川 : 私がお付き合いしている技術職の方の中には、RPAの導入をきっかけに、シナリオ開発の仕事で輝かれている反面、相談できる相手が近くにいなくて孤独だという話も聞いています。その点、こういうポータルは有効だと思います。

技術者派遣サービスをされている企業では、RPA担当として派遣されたスタッフさんが帰ってきて、練習したり相談したりできる場所をつくられているそうです。そうすると離職せずに頑張ってくださるとおっしゃっていました。

中川

(NTTデータ 中川)

三菱商事 野津田氏 : 私たちは、導入前、開発中、運用の各フェーズで必要となるサポートは異なると考えています。

導入前には、まずWinActorの無料プログラムを使ってもらって、どういう効果があるのかを体感してもらうようにしています。

開発段階では、基本的にユーザー側で開発をしてもらいたいと思っているのですが、開発スキルの習得はなかなか簡単にはいきませんから、ユーザーがひとりでシナリオをつくれるようになるまでは、エンジニアの派遣サービスを提供しています。

また「RPAカフェ」という出張ヘルプデスクのようなものを設けて、週に12回、開発中の悩みについて相談を受け付けるサービスも提供しています。

開発ができたとしても、安定した持続的な運用を行うにはそれなりの体制が必要です。それをサポートするために、現在、グループ会社の開発したロボットをクラウド上で運用するプラットフォームを構築することを目指している最中です。

AGC 土屋氏 : 潮見さん(みずほ情報総研)にお伺いしたいのですが、RPA開発の担当者が変わった場合、「自分が知っているつくり方と違うので、前の担当がつくったシナリオを見ても分からない」ということが、今後増えてくると思うのですが、それを防ぐためのルールやガイドラインなどは設けられていますか?

みずほ情報総研 潮見氏 : 研修で「簡単で構わないのでドキュメントに落としましょう」とか「複雑な部分には解説をつけましょう」とは伝えています。ただ、細かく明文化まではしていません。あまり厳しい制約は設けずに、まずは使ってもらうことを重視しています。

テーマ5RPAの一層の活用に関する今後の展望と予定

アフラック生命保険 高木氏 : 現在は目標の7合目から8合目まではきているのではないかと感じています。この1年半の経験で、WinActorに限らずRPA製品は「止まる」「手がかかる」「魔法の製品ではない」ということが分かりました。それを踏まえた上で、投資対効果を最大化するためのノウハウをさらに蓄積していきたいと考えています。

具体的には、業務選定の精度を向上させるためにプロセスマイニングツールを入れて、自動化のスコープを広げることを考えています。

また完成したシナリオで共通している部分を流用できるようにして、投資を抑制するような試みも継続して行なっていきます。

AGC 土屋氏 : 弊社はまだPoCの域を出ていないと感じていまして、まだまだ2合目くらいでしょうか。今日、こちらに登場されている皆様のような先進企業のお話を参考にしながら、さらに利活用を進めていきたいと考えています。

ひとまずいろいろな部門や関係会社にRPAを展開・紹介することに注力すると共に、実際につくっているRPAの費用対効果などをみながら、具体的な検証をしていきます。

今後はフローティングライセンスや管理ツールの導入、ガバナンス強化などについて、情報システム部門と一緒になって検討していこうと思っています。

みずほ情報総研 潮見氏 : 当グループでは、業務担当者自らがRPAを効率化の手段として検討・構築することができるようになってきたので、目指していた一定のレベルには達したのではないかと思っています。

ただそれがゴールではなく、開発したシナリオが継続的に使われるようにするとか、開発スキルを高い状態で維持するとか、RPAが廃れないように努力していかなければならないと考えています。

また、まだまだ紙を使った業務が多いので、End to Endでデジタル化を進め、そこにRPAを絡めて自動化していくという取り組みもできるようしたいですね。

三菱商事 野津田氏 : 認知・理解という点では一定のレベルには到達したと思っていますが、グループ企業での導入はまだまだ道半ばです。目下、我々がやらなければならないことは、グループにRPAを広げていって、生産性をさらに引き上げていくことです。

また今後は、RPAと他のツールとの連携でどのような可能性が広がるのかを調査し、試行錯誤を続けていきたいと考えています。

中川 : RPAをきっかけに、自動化率を高めるためのツールにご興味を持っていただけるお客様が多くて、それは素晴らしいことだと思っています。今、AIツールというとAI-OCRが注目されていますが、それ以外も皆様と一緒に研究して、実用化していければと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

本日はどうもありがとうございました。

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